KESとは
KESとは、生地に加える小さな力に対する伸び、曲げ、せん断、圧縮、表面特性などを測り、風合いを数値で評価するための計測システムです。
目次6項目
定義と概要
KESは、川端評価システムとも呼ばれる、生地の力学特性と表面特性を測定して風合いを客観的に捉える方法です。一般にKES-FBは、布の風合い評価に用いる測定系を指します。
手触りによる官能評価だけでは共有しにくいハリ、こし、なめらかさ、ふくらみなどを数値化し、素材開発、生地選定、品質管理で比較する際の補助情報として使われます。
評価できる特徴
KESでは、引張、せん断、曲げ、圧縮、表面摩擦や表面粗さなどの特性を測定します。これらは、着用時の動きやすさ、ドレープの出方、触れた際の硬軟感、表面の滑らかさに関わる要素です。
測定値は単独で良し悪しを決めるものではありません。同じ数値でも、シャツ、ジャケット、コートなど、目指す製品のシルエットや着用感によって適否は変わります。
- 曲げ特性は、生地の曲がりやすさやハリ感を捉える目安です。
- せん断特性は、生地が斜め方向に変形するときの追従性に関わります。
- 圧縮特性は、厚みの変化やふくらみ感に関わります。
- 表面特性は、摩擦感や表面の凹凸感を捉える要素です。
主な用途
KESは、素材開発時に狙った風合いへ近づける検討、生地見本と量産品の差の確認、複数候補の比較などに用いられます。特に、仕立て映えや着用感が重視される衣料生地の評価で活用されます。
季節やアイテムはKESの測定結果だけで決まりません。春夏向けでは軽さや肌離れ、秋冬向けではふくらみや保温性なども検討しますが、保温性、通気性、吸水性は必要に応じて別の試験で確認します。
選定と取り扱いの注意点
生地を選ぶ際は、KESデータを目付、密度、混用率、厚み、外観、縫製試験と併せて確認します。用途に近い状態で比較するため、染色、起毛、樹脂加工などの整理加工後の試料を用いることが重要です。
KESは縮率、洗濯耐久性、色落ち、縫い目のパッカリングを直接判定する試験ではありません。洗濯やプレスで風合いが変わるおそれがある場合は、洗濯前後の測定比較に加え、縮率試験と試作縫製を行います。
縫製では、曲げやせん断の特性が大きく異なる生地で、いせ込みやアイロンによる成形性、縫いずれ、縫い縮みの出方が変わります。数値を仕様書の共有資料にし、現物で縫製条件を確認します。
似ている用語との違い
風合いは、生地を見たり触れたりしたときに感じる総合的な感覚です。KESは、その風合いに関わる物性を機器で測定し、数値として比較するための評価システムであり、風合いそのものを表す言葉とは異なります。
ドレープ性は、生地が自重で垂れ下がる性質を指します。KESの曲げ・せん断特性はドレープ性の検討材料になりますが、ドレープ性そのものは形状や重量などにも左右されます。
よくある質問
KESの数値だけで生地の採用を決められますか?
KESの数値は風合いに関わる物性を比較する有効な情報ですが、採用の判断には現物確認が必要です。色、光沢、透け感、目付、加工状態に加え、縫製試験や洗濯後の外観・寸法変化も用途に応じて確認します。
KESで洗濯後の縮みは分かりますか?
KESは主に生地の力学特性と表面特性を評価するため、洗濯による縮率を直接示すものではありません。縮みを管理する場合は縮率試験を行い、必要に応じて洗濯前後でKESを測定して風合い変化も確認します。
KES-FBとKESは同じ意味ですか?
KESは川端評価システム全体を指す呼び方として用いられます。KES-FBは、そのうち布の風合い評価に関する測定系を指すことが一般的です。ただし、資料によって略称の使い方に幅があるため、対象試験を確認します。





