ZDHCとは
ZDHCとは、繊維・皮革などの製造工程で用いる化学物質を適切に管理し、有害化学物質の排出削減を目指す国際的な業界連携プログラムです。
定義と位置付け
ZDHCは、繊維・皮革・履物などのサプライチェーンにおける化学物質管理の改善を目的とする取り組みです。法令そのものでも、個々の生地や製品に一律に付与される認証制度でもありません。
中心となる考え方は、製造時に使用する化学物質の管理です。原料から最終製品までの含有物質だけでなく、染色、捺染、洗い、機能加工などの工程や排水を含めて管理対象として捉えます。
MRSLと基準の考え方
ZDHCで広く参照されるMRSLは、製造時使用制限物質リストを指します。生地や製品に最終的に残る量だけを見るのではなく、製造工程で意図的に使用しない、または管理すべき化学物質を示す考え方です。
MRSLへの適合確認では、染料、顔料、助剤、撥水剤、樹脂などの処方や、加工場での化学品管理が重要になります。対象物質、適用範囲、要求水準は版や取引先の要求によって異なるため、最新版の条件を確認します。
- MRSLは化学品の製造工程での使用に着目します。
- 製品試験だけでは、工程での化学品管理を十分に示せない場合があります。
- 排水管理や化学品の保管、投入記録なども確認項目になり得ます。
生地仕入れと製品づくりの確認
生地を仕入れる際は、ZDHCに関する主張の対象範囲を明確にします。生地そのもの、染色・整理加工を行った工場、使用した化学品のいずれに関する情報かを分け、対象ロット、色、加工内容、発行日を確認します。
別注色や追加加工、製品洗い、プリントなどを行う場合は、生地段階の情報だけで完結しません。後工程の加工場にも同等の管理要件を伝え、処方変更時の連絡、試験、記録の提出方法を仕様書や発注条件で定めます。
- 取引先が求めるZDHCの版と適合レベル
- 対象となる生地、色、加工、ロットの範囲
- 化学品の適合情報と加工場の管理情報
- 追加加工後に必要となる確認や試験の有無
表示と証明書の注意点
ZDHCへの取り組み、MRSL適合、化学品認証、排水試験結果は同じ意味ではありません。「ZDHC認証生地」のような表現は、認証主体、評価対象、根拠文書が不明確になりやすいため、使用前に取引先および表示先の要件を確認します。
提出書類は、自己宣言、化学品の適合証明、試験報告書、工場監査や排水管理に関する資料などで構成されることがあります。書類名だけで判断せず、発行者、対象、適用基準、期限、製品とのひも付きを確認することが大切です。
似ている用語との違い
エコテックスは製品または材料の有害物質に関する試験・認証として扱われることが多く、ZDHCは製造工程での化学物質管理を重視します。両者は目的の一部が重なりますが、確認する範囲と根拠資料は同一ではありません。
GOTS、GRS、OCSは主に有機原料やリサイクル原料などの由来、工程管理、表示を扱う認証です。REACH規則は法規制です。ZDHCはこれらに代わるものではなく、要求に応じて並行して確認します。
よくある質問
ZDHCは生地の認証ですか。
ZDHCは生地単体を一律に認証する制度ではなく、製造工程における化学物質管理を促す取り組みです。生地について確認する際は、MRSLへの対応状況、対象となる加工工程、根拠書類の種類と対象ロットを個別に確認します。
MRSL適合なら製品の安全性を保証できますか。
MRSL適合は、主に製造工程で使用する化学物質の管理に関する情報です。最終製品の安全性、販売国の法規制適合、特定用途の性能を単独で保証するものではありません。必要な製品試験や法規制確認は別途行います。
ZDHC対応をうたう際に確認すべき書類は何ですか。
主張する範囲に応じて、化学品の適合情報、加工場の管理資料、試験報告書などを確認します。書類の発行者、基準の版、対象工程、対象生地やロット、発行日と有効性を確認し、表示文言が根拠を超えないようにします。





