GRSとは
GRSとは、リサイクル原料を含む製品について、原料の由来を追跡する管理と、加工工程における環境・社会・化学物質に関する要求事項を定めた任意の国際認証基準です。
定義と概要
GRSは、リサイクル原料を含む繊維製品などを対象とする、第三者認証を前提とした国際的な製品規格です。再生原料が使われていることだけでなく、原料から製品までの流通・加工のつながりを管理することを求めます。
法令や素材名ではなく、認証基準です。そのため、「GRSの生地」は織組織や風合いを示す言葉ではありません。認証の対象範囲、認証を受けた事業者、該当する生産ロットを確認して扱う必要があります。
対象と基準の考え方
GRSでは、製品中のリサイクル原料の含有について定められた条件を満たすことに加え、サプライチェーンの管理が確認されます。対象となるリサイクル原料には、使用済み製品由来のものと、製造工程で発生した回収材由来のものがあります。
加工段階では、環境への配慮、労働者の社会的側面、化学物質の管理に関する要求事項も扱われます。したがって、GRS認証は再生含有率だけ、または生地の安全性だけを単独で保証するものではありません。
- 認証対象となる製品・原料のリサイクル由来と含有条件
- 原料から製品までのチェーン・オブ・カストディー(受け渡し履歴の管理)
- 加工場における環境・社会的な要求事項
- 染料、助剤などに関する化学物質の管理
生地の仕入れと製品づくりで確認すること
生地を仕入れる際は、素材混率、リサイクル原料の種類と割合、認証対象の生地ロットを仕入先に確認します。生地自体が認証範囲であっても、裁断・縫製・プリントなどの後工程が認証管理につながらなければ、完成品をGRSとして扱えない場合があります。
完成品で認証表示を予定するなら、企画初期から生地、裏地、芯地、付属、加工、縫製の各工程を整理します。どこまでを認証対象に含めるかは仕様によって異なるため、工場や認証機関の運用に沿って確認することが重要です。
- 仕入先の認証書の有効性と、認証範囲
- 生地ロットに対応するトランザクション証明書の有無
- 完成品までの加工・縫製事業者の認証状況
- 混率表示とリサイクル原料に関する訴求内容の整合
表示と証明書の注意点
事業者の認証書は、その事業者や拠点が認証を受けていることを示すもので、個別の生地や完成品が認証対象であることを単独では証明しません。個別取引では、対象品・数量・取引先などを確認できるトランザクション証明書を確認します。
GRSの名称やロゴを製品、下げ札、ECページなどに用いる場合は、認証の対象と証明書類の内容に一致させます。再生原料を含むだけの非認証品にGRSの表示を付けたり、認証範囲を超える環境訴求をしたりしないよう注意が必要です。
似ている用語との違い
リサイクルポリエステルは、再生原料を用いたポリエステルという素材の呼び方です。一方GRSは、原料の再生性に加え、サプライチェーンや加工工程の要件を含む認証基準です。リサイクルポリエステルであっても、必ずしもGRS認証品とは限りません。
GOTSは主にオーガニック繊維製品を対象とする認証であり、GRSとは主眼となる原料が異なります。エコテックスやブルーサインも繊維製品の化学物質・環境面に関わりますが、リサイクル原料のトレーサビリティーを扱う範囲や認証の仕組みは同一ではありません。
よくある質問
GRS認証生地なら、完成した衣類にもGRSと表示できますか?
必ずしも表示できるとは限りません。完成品としての表示には、生地以降の裁断、縫製、加工などを含む認証管理と、対象取引に対応する証明書類が必要です。表示の可否は、使用する材料と工程を認証範囲に照らして確認します。
GRS認証書とトランザクション証明書の違いは何ですか?
認証書は、事業者や拠点が基準に沿った管理を行う認証範囲にあることを示します。トランザクション証明書は、特定の取引における品目、数量、取引先などを示す書類です。生地や製品の仕入れ確認では、両者を区別して確認します。
リサイクルポリエステルを使えばGRSになりますか?
なりません。リサイクルポリエステルは素材の名称であり、GRSは認証基準です。再生原料の由来、含有条件、認証された工程での管理、取引を裏付ける証明書類などがそろって、GRSとして扱えるかを判断します。





