トレーサビリティとは
トレーサビリティとは、生地や製品の原料、生産、加工、流通などの履歴を記録し、必要に応じて追跡・確認できる状態を指す仕組みです。
定義と認証との関係
トレーサビリティは、原料の調達先から紡績、製織・編立、染色加工、縫製、流通までの履歴をたどれるようにする考え方です。何をどの範囲まで確認するかは、素材、取引先、制度や認証の要求によって異なります。
トレーサビリティ自体は認証や法規制の名称ではありません。認証制度の中には、認証原料が工程中で適切に管理されたことを確認するため、取引記録や証明書の保管を求めるものがあります。
対象と確認基準
対象には、原料の種類と由来、再生原料の含有、製造事業者、加工場所、ロット、入出荷記録などがあります。製品全体ではなく、表地のみ、特定繊維のみなど、追跡対象が限定される場合もあります。
確認では、追跡できる工程の始点と終点、各工程で必要な書類、ロットが混合・分割された際の管理方法を明確にします。「追跡可能」という表現だけでは、原料産地や全工程の把握を意味するとは限りません。
- 対象素材と対象工程の範囲
- 原料・生地・製品のロット番号
- 仕入先から受け取る取引書類と証明書
- 加工や縫製を委託した先の記録
- 記録の保管期間と照会方法
生地仕入れと製品づくりでの実務
生地を仕入れる際は、素材名や混用率に加え、どの主張を裏付けるためのトレーサビリティかを仕入先に確認します。リサイクル原料、オーガニック原料、動物由来原料などでは、求められる証明の範囲が異なることがあります。
製品化では、生地の反番号や入荷ロットと、裁断・縫製した製品ロットを対応付けて管理します。複数の生地や付属を使う場合は、どの部材に関する情報なのかを仕様書や管理表で区別すると、問い合わせ時に確認しやすくなります。
表示と証明書の注意点
下げ札、商品説明、品質表示などで由来や認証に触れる場合は、証明書の名義、対象品目、対象ロット、有効性を確認します。生地に関する証明が、そのまま完成品への表示使用を認めるとは限らないため注意が必要です。
認証名を表示するには、制度ごとの表示基準、承認手続き、取引証明書などが必要となる場合があります。トレーサビリティ情報を示す際も、確認できる事実の範囲を超えて、環境負荷や社会的配慮を断定しないことが大切です。
似ている用語との違い
GRSやGOTSなどは、一定の基準に基づいて認証を行う制度です。これに対してトレーサビリティは、原料や工程の履歴を追跡できる性質・管理の仕組みを指します。認証を取得していても、確認できる範囲は制度や取引条件により異なります。
品質表示や原産国表示は、消費者に必要な事項を表示するための制度・表示です。トレーサビリティはその表示の根拠確認に役立ちますが、表示義務の内容そのものや、素材の性能・安全性を保証するものではありません。
よくある質問
トレーサビリティがある生地は認証生地ですか。
必ずしも認証生地ではありません。トレーサビリティは履歴を追跡できる状態を指し、認証は定められた基準への適合を第三者などが確認する制度です。認証の有無、認証名、対象素材・ロットは個別に確認します。
リサイクル素材のトレーサビリティでは何を確認しますか。
再生原料の由来、再生工程、原料から生地までの取引・加工記録、対象ロットを確認します。再生原料の配合率を表示する場合は、その数値を裏付ける書類と、完成品への表示条件もあわせて確認する必要があります。
生地の証明書は完成品にも使えますか。
生地の証明書だけで完成品への認証表示や主張ができるとは限りません。縫製など後工程の管理や取引書類が必要な制度もあります。表示前に、制度の表示規則、証明書の対象範囲、ブランド側の管理手順を確認します。





