別注とは
別注とは、既製の生地規格ではなく、発注者の要望に応じて素材、組織、色、柄、加工、規格などの一部または全部を指定して生産・手配する取引です。
定義と概要
生地取引における別注は、在庫品として定番化された生地を購入するのではなく、ブランドや発注者の企画に合わせて生地をつくる、または既存生地の仕様を変更して手配することです。織物・ニットの生産、染色、プリント、後加工などで用いられます。
「別注」は完成した生地そのものを指す場合と、その生産・手配の取引を指す場合があります。どこまで仕様を変更するかは案件ごとに異なるため、別注という言葉だけで内容を判断せず、変更点を明確にする必要があります。
生地取引で使う場面
別注は、希望色への染色、オリジナル柄のプリント、素材混率や糸使いの変更、生地幅・目付の調整、撥水などの機能加工の追加といった場面で検討されます。既存の生機を使って染色・加工のみを指定する形もあれば、糸から設計する形もあります。
企画初期には、生地見本やスワッチで方向性を確認し、必要に応じてラボディップなどの小試験を行います。その後、量産可否、最小ロット、納期、価格条件を確認し、承認した規格に基づいて本生産へ進めます。
- 色別注:既存の品質を指定色に染める手配です。
- 柄別注:プリント柄、先染めの配色、織柄などを指定します。
- 規格別注:組織、混率、番手、密度、生地幅、目付などを設計・変更します。
- 加工別注:起毛、撥水、コーティングなどの仕上げ条件を指定します。
仕様と数字の確認項目
別注では、口頭のイメージだけで進めず、仕様書や承認見本で条件を固定します。素材名、混率、組織、糸の種類、色番号または色見本、柄データ、加工内容、生地幅、目付、必要数量、希望納期を記録します。用途や縫製条件も、品質設計に関わる情報です。
数量はメートル、ヤード、反数など、取引先が用いる単位をそろえて確認します。最小ロットや追加生産の条件は、生地の構成、染色方法、加工内容、生産背景によって大きく異なります。一般的な一律の目安で判断せず、色数・柄数ごとに事前確認します。
生地幅、目付、縮率、堅牢度などは、基準値だけでなく許容範囲と測定方法を取り決めることが重要です。量産ではロット差が生じ得るため、色差、風合い、幅、長さ、反内・反間のばらつきについて、判定見本と検品基準を共有します。
行き違いを防ぐ注意点
別注では、試作段階で承認した見本と量産品の差異が課題になりやすいため、承認対象を明確にします。色だけでなく、風合い、厚み、透け感、表裏、毛並み、柄方向、加工感を、可能な限り実物見本で確認します。照明条件によって見え方が変わる色もあるため注意が必要です。
発注前には、数量の増減可否、納期の起算日、分納の可否、反長、欠点の扱い、追加発注時の再現性も確認します。別注生地は発注後の変更や取消しが難しい場合があるため、仕様確定の責任者、承認日、改訂履歴を残して関係者間で共有します。
似ている用語との違い
最小ロットは、生産や受注を成立させるために必要な最低数量を示す条件です。一方、別注は仕様を指定して生産・手配する取引の形を示します。別注には最小ロットが設定されることが多いものの、両者は同じ意味ではありません。
見本反やスワッチは、生地の色、柄、風合い、規格を確認するための見本です。別注はその見本をもとに進めることがありますが、見本そのものを指す言葉ではありません。ラボディップは主に染色の色見本を確認する工程であり、別注全体を表す用語ではありません。
よくある質問
生地の別注で最初に決めるべきことは何ですか?
まず、変更したい項目が色、柄、組織、混率、加工のどれかを整理します。そのうえで用途、必要数量、希望納期、基準となる現物見本や色見本を提示します。仕様書には生地幅、目付、品質基準、許容範囲も記載し、承認手順を決めます。
別注生地は少ない数量でも依頼できますか?
可否は生地の仕様、染色・加工方法、生産設備、色数や柄数によって異なります。少量であっても対応可能な場合はありますが、最小ロットや単価、納期の条件が変わることがあります。希望数量だけでなく、追加生産の見込みも含めて早めに相談します。
別注の色は量産で見本どおりになりますか?
染色では原料やロット、加工、照明条件などにより見え方に差が出ることがあります。承認した色見本の保管、判定条件、許容する色差の基準を事前に共有することが重要です。量産前の確認見本と、納品時の検品基準も取り決めておきます。





