REACH規則とは
REACH規則とは、欧州連合で化学物質の登録、評価、認可および制限を定め、製品中の有害性が懸念される物質の管理を求める規則です。
定義と概要
REACH規則は、欧州連合における化学物質管理の法規制です。繊維製品では繊維そのものだけでなく、染料、顔料、撥水剤、樹脂、プリント剤、接着剤、金属付属などに含まれる化学物質が確認対象になり得ます。
REACH対応は、生地の風合い、耐水圧、堅牢度などを示す品質規格や、任意の認証制度ではありません。欧州連合で流通させる製品について、該当する化学物質の法的要求への適合を確認する考え方です。
対象と基準の考え方
規則では、化学物質を単体、混合物、成形品に分けて扱います。衣料や生地、ボタンなどの完成した物は、多くの場合、形状や用途によって機能が決まる成形品として検討します。
確認の中心となるのは、使用が制限される物質、認可の対象となる物質、および高懸念物質です。対象物質や要求内容は更新されるため、単に「REACH対応」とするのではなく、対象市場、製品構成、確認時点をそろえることが重要です。
- 生地本体と後加工剤、プリント部分を分けて確認します。
- 裏地、芯地、ネーム、ボタン、ファスナーなどの付属も対象に含めます。
- 乳幼児向け、肌に長時間触れる用途などは、用途に応じた確認条件を整理します。
生地の仕入れと製品づくりでの確認
企画の初期に販売国と製品用途を決め、仕入先へ適合確認の範囲を伝えます。生地だけが適合していても、製品化の際に加える副資材、プリント、二次加工によって確認条件が変わることがあります。
仕入先から得る情報は、対象ロット、生地品番、色、加工内容、確認対象物質、確認基準日が追える形で保管します。色や加工が異なる場合は化学処方も異なることがあるため、代表色だけで全色を判断しない運用が必要です。
- 対象市場と出荷先を仕様書に明記します。
- 生地、付属、加工の各供給者に必要な確認書類を依頼します。
- 試験報告書は試料名、試験項目、試験方法、発行日、対象ロットを照合します。
- 量産時の変更管理と、書類の更新時期をあらかじめ決めます。
表示と証明書の注意点
REACH規則への適合は、一般に消費者向けの品質表示そのものではありません。「REACH認証済み」「REACHマーク付き」といった表現は、規則の性質や確認範囲を誤解させるおそれがあります。販売先や取引先が求める表示・文言を個別に確認します。
供給者の適合宣言、分析試験報告書、化学物質管理に関する資料は、それぞれ証明できる範囲が異なります。書類があることだけでなく、完成品、構成部材、対象物質、適用する法的要求を満たしているか確認します。
似ている用語との違い
エコテックスは繊維製品の有害物質に関する試験・認証制度であり、REACH規則とは目的と運用が異なります。エコテックスの認証や試験結果があっても、REACH上のすべての確認を代替するとは限りません。
ZDHCは製造工程における化学物質管理を進めるための枠組みです。PFAS規制は有機フッ素化合物に関する規制の総称で、REACH規則に基づく制限と関連する場合があります。アゾ染料やホルムアルデヒドは、繊維製品で確認される代表的な化学物質です。
よくある質問
REACH対応の生地であれば、完成品もREACH規則に適合しますか。
必ずしも適合するとは限りません。完成品では、生地に加えて裏地、芯地、ボタン、ファスナー、プリント、接着剤なども確認します。製品化後に行う加工や、販売国ごとの要求も含め、完成品単位で確認する必要があります。
REACH規則の証明書は、どのように確認すればよいですか。
書類名だけで判断せず、対象製品、色、加工、対象ロット、対象物質、試験項目、発行日を確認します。供給者の適合宣言と分析試験報告書では示す内容が異なるため、取引先が求める確認範囲に合うかを照合します。
日本国内だけで販売する生地にもREACH規則の確認は必要ですか。
欧州連合向けに出荷しない場合でも、取引先の調達基準として確認を求められることがあります。一方で法的な適用関係は流通国や事業者の立場で変わるため、販売先、最終製品の輸出先、契約条件を確認して判断します。





