ケシ加工とは
ケシ加工とは、ボタン表面の光沢を抑え、反射が控えめなマットな見え方に仕上げる加工・仕上げの呼び方です。
定義と概要
ケシ加工は、ボタンの表面を艶の少ない状態に見せる仕上げです。光を強く反射しにくいため、落ち着いた印象や素材感を生かした印象をつくれます。カタログなどではケシ、艶消し、ツヤ消し、マットと表記されることがあります。
ケシ加工はボタンの素材名や形状名ではありません。同じ樹脂製、貝製、金属製などのボタンでも、表面の仕上げとして艶ありとケシ加工が設定される場合があります。発注時は色だけでなく、艶の程度も仕様として確認します。
素材と構造との関係
ケシ加工は表面仕上げであり、二つ穴、四つ穴、猫目などの穴あきボタン、カン足やトンネル足などの足つきボタンのいずれにも施されます。穴の数や足の形は、ボタンの付け方、厚み、衣服とのなじみ方を左右する別の仕様です。
素材によって、ケシ加工の見え方や傷への強さは異なります。樹脂では成形時の表面状態や後加工で艶を抑えることがあり、金属ではめっきや塗装の仕上げで表現される場合があります。素材、色、加工方法を組み合わせて現物で確認することが重要です。
- 穴あきボタンは縫い糸が表面に見えるため、糸色との見え方も確認します。
- 足つきボタンは表面に縫い糸が出にくく、ケシ面の印象を保ちやすい形状です。
- フチの有無、厚み、裏面形状はケシ加工とは別に指定します。
サイズと主な用途
ボタンの大きさは、一般的に直径をmmで示すほか、リーニュで表すことがあります。ケシ加工そのものに固有のサイズはなく、前あき、袖口、ポケットなど取り付ける部位、ボタンホールの長さ、生地の厚みに合わせてサイズを選定します。
光沢を控えたいシャツ、ブラウス、ジャケット、コート、ユニホーム、ワークウェアなどに用いられます。服地やほかの付属がマットな場合は統一感を出しやすく、反対に光沢のある生地と組み合わせると、表面感の対比をつくれます。
付け方と取り扱いの注意
穴あきボタンは、穴数と生地厚に応じてボタン付け糸を選び、必要に応じて根巻きを行います。根巻きは、ボタンと生地の間に糸の足をつくる方法で、厚地や前立ての重なりがある箇所でボタンを掛けやすくします。足つきボタンでは、足の根元に無理な力が掛からないように縫い付けます。
洗濯、ドライクリーニング、アイロンへの耐性は、ケシ加工だけでは判断できません。高温のアイロンや強い圧力、硬い物との摩擦は、艶感の変化、擦り傷、塗膜の損傷につながることがあります。洗濯表示とボタンの素材・仕上げに応じた試験や現物確認を行います。
樹脂製ボタンは強い衝撃や過度な締め付けで割れることがあり、金属製では薬剤や湿気により変色する場合があります。縫製時はボタンの割れ、欠け、表面傷を確認し、製品洗いを行う場合は事前に洗い試験を行うと安心です。
似ている用語との違い
艶ありは表面の反射を生かした仕上げであり、ケシ加工とは光沢の見え方が対照的です。ただし、艶の強弱には段階があり、ケシ加工とされる製品でも完全に無反射とは限りません。色見本だけで判断せず、照明下で実物を比較します。
天塗りはボタン表面に色を施す仕様を指し、ケシ加工は主に艶の見え方を指します。また、七宝や刻印は装飾表現・意匠に関する用語です。これらはケシ加工と併用されることもあるため、仕様書では加工内容を分けて記載します。
よくある質問
ケシ加工のボタンは、艶ありボタンより傷が目立ちにくいですか?
細かな擦り傷が目立ちにくく感じられる場合はありますが、素材や加工方法、色によって異なります。摩擦で部分的に艶が出る、塗膜が傷つくなどの変化もあり得ます。量産前に実物で摩擦や洗濯後の外観を確認してください。
ケシ加工のボタンにアイロンを当ててもよいですか?
ケシ加工という名称だけで可否は判断できません。ボタンの素材によっては熱で変形、変色、光沢変化が生じることがあります。直接アイロンを当てずに避けてかけることを基本とし、必要に応じて当て布や耐熱条件を確認します。
ケシ加工はボタンのサイズや穴の形を示しますか?
示しません。ケシ加工は表面の光沢を抑える仕上げを表す用語です。サイズはmmまたはリーニュ、構造は二つ穴、四つ穴、足つきなどで別に示されます。発注時には仕上げ、サイズ、穴や足の形をそれぞれ指定します。





