デジタル製品パスポートとは
デジタル製品パスポートとは、製品の素材、供給網、環境情報、修理・再利用などに関するデータをデジタルで参照可能にする仕組みです。
定義と制度上の位置付け
デジタル製品パスポートは、製品ごとの情報を二次元コードなどから読み取り、関係者や利用者がデジタルで確認できるようにする仕組みです。繊維製品では、素材構成、原料から製造までの履歴、環境に関する情報、循環利用のための情報などが対象になり得ます。
これは単独の認証マークや品質証明書ではありません。製品情報を一定の方法で記録・共有するための枠組みであり、対象品目、必要情報、適用時期は制度や販売先の地域ごとに定められます。
対象と基準の考え方
繊維分野では、製品の耐久性、修理可能性、再使用・再資源化への配慮、有害物質への対応、再生材の利用、供給網の追跡可能性などが検討・要求される情報になり得ます。ただし、すべての項目がすべての製品に同じ形で求められるわけではありません。
特に欧州向けの企画では、エコデザイン規則など関連する制度の対象範囲と、製品別に定められる要件を確認する必要があります。自主的な情報開示として導入される場合もあり、法令上の義務と取引先独自の要求は分けて整理します。
- 対象製品と販売先の国・地域
- 製品単位、型番単位、ロット単位などの情報管理単位
- 素材、混用率、原産地、加工・縫製工程の根拠資料
- 修理、回収、再使用、再資源化に必要な情報
生地の仕入れと製品づくりでの確認事項
生地を仕入れる段階では、混用率、原料の由来、紡績・製織・染色加工の工程、加工剤に関する情報を、サプライヤーへ確認します。完成品で情報をまとめようとすると不足が生じやすいため、生地規格書や試験報告書と併せて受領・保管する運用が重要です。
製品化では、表地だけでなく、裏地、芯地、中綿、ボタン、ファスナー、プリントやラベルなどの付属も確認対象となり得ます。品番変更、代替素材、工場変更があった場合に情報を更新できるよう、仕様書と調達記録を対応付けます。
表示と証明書の扱い
二次元コードを付けたことだけでは、記載内容の正確性や環境性能が保証されるわけではありません。表示する素材情報、原産地、認証取得状況、環境に関する主張には、仕入先の宣誓書、試験報告書、認証書など、主張の種類に応じた根拠を確認します。
認証書はデジタル製品パスポートそのものではなく、記載情報を裏付ける資料の一つです。認証の対象範囲、有効期限、取引単位への適用可否を確認し、認証名のみを表示して対象外の製品まで認証済みと誤認させないよう注意します。
似ている用語との違い
トレーサビリティは、原料や製品の流れを追跡できる状態を指します。デジタル製品パスポートはトレーサビリティ情報を含み得ますが、それに限らず、製品仕様、環境情報、使用後の扱いなどもまとめて参照可能にする仕組みです。
エコテックス、GOTS、GRSなどは、それぞれ定められた基準への適合を第三者が確認する認証制度です。デジタル製品パスポートは認証制度ではなく、これらの認証情報を含めて製品情報を伝達するための手段として利用されます。





