経糸抜け・緯糸抜けとは
経糸抜け・緯糸抜けとは、織物を構成する経糸または緯糸が本来あるべき箇所で欠け、筋状の粗い部分や穴状のすき間として現れる織物の生地欠点です。
定義と概要
経糸抜けは、布の長さ方向に通る経糸が欠ける現象です。緯糸抜けは、布幅方向に入る緯糸が欠ける現象です。いずれも製織時の糸切れ、糸の供給不良、織機の作動不良などにより生じます。
欠け方は一本だけの場合もあれば、複数本が連続する場合もあります。生地表面では筋、すき間、局所的な薄さとして見え、織物の組織、密度、色、光の当たり方によって目立ち方が変わります。
見た目と品質への影響
経糸抜けは生地の長さ方向に線状に現れやすく、緯糸抜けは幅方向に横筋状に現れやすい点が特徴です。周囲より密度が低くなるため、透け感や表面の凹凸が局所的に強く見えることがあります。
抜けた部分は糸の交差が少ないため、引っ掛かりや裂けの起点になるおそれがあります。薄地、淡色、平滑な表面の生地では視認されやすく、製品の外観品質に影響しやすいため、裁断前の確認が重要です。
用途と採否の考え方
経糸抜け・緯糸抜けは意図した組織や装飾ではなく、生地欠点として扱われるのが一般的です。そのため、特定のアイテムや季節に適した生地の特徴を示す用語ではありません。
欠点の位置、長さ、程度、製品の見える部位かどうかを確認し、裁断で避けられるかを判断します。目立つ箇所や強度低下が懸念される箇所は、衣料、バッグ、インテリア用途を問わず使用を避けることが基本です。
選び方と取り扱いの注意点
反物を受け入れる際は、検反で生地を広げ、一定方向からだけでなく斜めからも確認します。とくに無地、細番手糸の薄地、高密度生地では、照明条件によって筋が見えやすくなるため、検査環境をそろえることが大切です。
洗濯や水通しによって新たに糸が補われることはありません。抜け部は洗濯時の摩擦や着用時の引っ掛かりで広がる場合があるため、欠点を含む箇所を製品の負荷がかかる部位に配置しないようにします。
縫製では、抜け部の近くに縫い目や切り込みを設けると生地が不安定になりやすいことがあります。やむを得ず使用する場合は、縫い代内に収められるか、補強が仕様上可能かを事前に確認します。
- 裁断前に欠点位置を記録し、マーキングで回避します。
- サンプルと量産で同様の欠点の有無を確認します。
- 欠点判定は取引先との検品基準に従って共有します。
似ている用語との違い
経糸と緯糸は織物を構成する方向の名称であり、経糸抜け・緯糸抜けはそれぞれの糸が欠けた状態を指します。経糸と緯糸そのものの説明とは区別します。
糸むらやヨコ段は、糸の太さや染まり、張力などの差によって筋状に見える現象で、糸が物理的に欠ける経糸抜け・緯糸抜けとは異なります。また、生地欠点は、これらを含む不良や外観上の問題の総称です。





