ヨコ段とは
ヨコ段とは、織物や編地の緯方向に、糸の太さ・種類・染着性などの差によって帯状の色差や濃淡が現れる外観上の現象です。
定義と概要
ヨコ段は、生地を横切る方向に筋状または帯状に見える色差、光沢差、密度差を指します。英語ではバーまたはバレと呼ばれることがあり、織物では主に緯糸に起因する現象として扱われます。
緯糸のロットや番手、撚り、繊維混用率、染料への染まりやすさなどが部分的に異なると、染色後に差が強調されることがあります。製織時の張力や密度の変動、編地のコース方向の差が原因になる場合もあります。
見た目と風合いへの影響
ヨコ段は、淡色よりも濃色、無地、表面が平滑な生地で目立ちやすい傾向があります。見る角度によって濃淡や光沢の違いとして現れることもあり、連続したはっきりした段から、わずかな色調の揺らぎまで程度はさまざまです。
通常、ヨコ段は外観に関する現象であり、ただちに生地の強度や着用機能の不足を意味するものではありません。ただし、意図しない場合は製品の均一感を損ねるため、検反時に確認する品質項目になります。
主な用途と企画時の考え方
ヨコ段が目立ちにくい生地は、シャツ、ブラウス、ワンピース、パンツ、ジャケットなど、広い面積を無地で見せるアイテムに使いやすいです。一方、素材感を生かすカジュアル衣料では、糸節や濃淡を自然な表情として扱う場合もあります。
春夏向けの薄地やレーヨンフィラメントなど光沢のある糸を含む生地では、光の反射によって差が見えやすいことがあります。企画時にはスワッチだけでなく、可能であれば反物を広げ、使用する色と照明条件で外観を確認します。
- 柄物、起毛品、凹凸のある組織では目立ち方が変わります。
- 裁断後のパーツ間で段の位置が異なると、左右差や身頃と袖の差として見えることがあります。
- 意匠としての不均一感か、避けるべき外観不良かを仕様書で明確にします。
選び方と取り扱いの注意点
発注前には、生地の表裏、色、ロットによる見え方を確認し、許容する外観基準を仕入先と共有します。製品での見え方を確認するため、反物から裁断した試作品を確認することが重要です。特に濃色では、照明や見る方向も変えて評価します。
ヨコ段そのものは洗濯で必ず発生する現象ではありませんが、洗濯や水分での縮み、色落ち、毛羽立ちが加わると見え方が変わることがあります。洗濯表示に従い、試験洗いで外観変化を確認します。
縫製では、延反時に生地の向きと段の位置を確認し、同一製品の左右パーツや前後身頃で見え方が大きく異ならないよう裁断を管理します。ヨコ段を避けられない素材では、裁断可否や配置の判断基準を事前に定めます。
似ている用語との違い
ヨコ段は主に緯方向に現れる帯状の外観差です。縦線は経方向に現れる筋で、原因も経糸や整経、織機条件など異なる場合があります。糸むらは糸の太さや質感の不均一そのものを指し、それが生地上でヨコ段として見えることがあります。
先染めによる横方向の配色や、プリントによるボーダーは意図した柄です。これに対してヨコ段は、多くの場合、糸や製造・染色条件の差により意図せず生じる外観差を指します。ただし、素材の特性として許容される用法もあります。
よくある質問
ヨコ段は不良品ですか。
ヨコ段は外観上の現象であり、一律に不良品とはいえません。程度、生地の用途、販売時の品質基準、素材特性として事前に説明されているかによって判断が異なります。無地の衣料では目立ちやすいため、検反と製品判定の基準を事前に決めることが重要です。
ヨコ段とボーダー柄はどう違いますか。
ボーダー柄は、配色や組織、プリントによって意図的に横方向の線を表現した柄です。ヨコ段は、緯糸や染色条件などのばらつきにより生じる意図しない濃淡や筋を指します。ただし、素材の不均一感を意匠として用いる場合もあります。
ヨコ段は洗濯で直りますか。
原因が糸の染着差や太さの差である場合、洗濯によってヨコ段が解消することは一般的に期待できません。むしろ縮み、毛羽立ち、色落ちなどにより見え方が変化することがあります。量産前には製品状態で洗濯試験を行い、外観を確認します。





