引箔とは
引箔とは、和紙に金属箔や顔料を貼って細く裁断した箔糸を主に緯糸として織り込み、金銀などの光沢と紙由来の表情を表す織物技法です。
目次6項目
定義と概要
引箔は、和紙に金属箔を貼るなどして作った薄い箔素材を細い帯状にし、織物の緯糸として引き込む技法、またはその織物を指します。箔の色や表面加工、織り込む間隔によって、華やかさから落ち着いた光沢まで表現できます。
経糸には絹などの繊維糸を用いることが多く、箔素材は織物の表面に見えるように配置されます。引箔は織物の組織名ではなく、箔を用いる意匠技法です。
特徴
金属的な輝きに加え、箔が貼られた和紙の質感や不均一さが見え、深みのある装飾性を得られます。光の当たり方や見る角度で表情が変わり、平面的なプリントとは異なる立体感を出しやすい点が特徴です。
一方で箔素材は折れや摩擦、強い屈曲の影響を受けやすく、使用に伴ってひび割れや剥離が生じる場合があります。風合い、柔軟性、耐久性は、箔の種類、紙の厚み、織り密度、地組織によって異なります。
主な用途
帯地をはじめとする和装用の織物に多く用いられ、礼装や晴れ着向けの華やかな意匠に活用されます。箔の量を抑えた表現では、控えめな光沢を生かした小物地や装飾性のある服地に用いられることもあります。
季節を限定する素材ではありませんが、きらめきが強いものは式典、舞台衣装、パーティーなど、視覚的な存在感を求める用途に向きます。衣服に用いる際は、着用時に繰り返し曲がる部位への配置を検討します。
選び方と取り扱いの注意点
選定時は、箔の見え方だけでなく、基布の素材、厚み、硬さ、地組織、用途に必要な耐摩耗性を確認します。サンプルで曲げ、摩擦、縫い目付近の状態を確認し、表地として使う範囲や裏地の有無を仕様に反映することが重要です。
水洗いでは和紙や接着層、箔表面に影響するおそれがあるため、洗濯方法は生地ごとの表示や供給元の指示に従います。保管時は強く折り曲げず、湿気、直射日光、他素材との強い摩擦を避けます。
縫製では箔面に針穴や押さえ跡が残る場合があるため、縫い代で試し縫いを行います。細かすぎる運針やほどき直しは表面を傷めやすいため、縫い直しを減らせるパターンと工程を検討します。
- 裁断時は箔面を傷つけないよう、作業台の汚れや引っ掛かりを確認します。
- アイロンは当て布を用い、低温から試験して温度と圧力を調整します。
- 接着芯を使う場合は、箔面への影響を避けるため、必ず端布で接着条件を確認します。
似ている用語との違い
金襴は、金糸や箔を用いて文様を織り出す織物の総称として使われることがあります。引箔は、そのなかでも箔を貼った紙を細くして織り込む方法に着目した呼び方です。すべての金襴が引箔によるものとは限りません。
箔プリントは、生地表面に箔を転写・接着して柄や光沢を表す加工です。これに対し引箔は、箔素材そのものを織り込むため、光沢の現れ方、断面構造、摩耗時の変化が異なります。





