遠赤外線加工とは
遠赤外線加工とは、遠赤外線に関わる機能を付与するため、機能性粒子を繊維へ練り込む、または生地表面へ加工する方法の総称です。
定義と概要
遠赤外線加工は、遠赤外線を放射するとされる無機系の機能性粒子などを用い、生地に機能を持たせる加工です。後加工として生地に付与する方法のほか、粒子を合成繊維の原料に混ぜて糸の段階から機能を持たせる方法があります。
遠赤外線は電磁波の一種であり、衣料分野では保温感や衣服内環境への作用を訴求する素材に用いられます。ただし、機能の仕組み、評価方法、感じ方は製品設計や使用条件によって異なります。
特徴と見た目
この加工自体は織物・編物の組織や素材名ではないため、風合い、厚み、伸縮性、表面感は基布と加工方法に左右されます。粒子を練り込んだ糸では、見た目や手触りが通常の糸と大きく変わらない場合もあります。
樹脂などを使う後加工では、加工量によってハリ、硬さ、通気性、吸水性が変わることがあります。濃色で太陽光を利用する設計や、吸光発熱機能と組み合わせた素材もありますが、遠赤外線加工だけで発熱するとは限りません。
主な用途と季節
保温性やあたたかさの訴求を意図する秋冬衣料、肌着、スポーツ・アウトドア向け衣料、寝装・インテリア用途などに用いられます。裏起毛、フリース、中綿使いなど、衣服内の熱を逃がしにくい仕様と組み合わせることもあります。
素材選定では遠赤外線加工の有無だけでなく、目付、厚み、通気性、吸湿性、裏地や中綿の有無を総合的に確認します。運動量が多い用途では、保温性とともに吸水速乾性や透湿性とのバランスが重要です。
- 秋冬のインナー、カットソー、ルームウェア
- ジャケット、ブルゾン、パンツなどの防寒衣料
- スポーツ・アウトドア向けのミドルレイヤー
- 寝具、ひざ掛けなどのインテリア製品
選び方と取り扱いの注意点
企画時は、遠赤外線に関する表示内容と、保温性などの性能試験結果を分けて確認します。加工剤の種類、練り込みか後加工か、洗濯耐久性、基布の風合い変化をサンプルと仕様書で確認し、用途に必要な性能を設定します。
縮みは遠赤外線加工そのものより、基布の素材や編織組織、整理加工の影響を受けます。裁断前には必要に応じて放反や水通しを行い、量産前には洗濯後の寸法変化、外観、風合いを確認します。
縫製では通常の生地と同様に、素材に合う針と糸、縫い条件を選びます。樹脂系の後加工で生地が硬くなっている場合は、針穴、縫い縮み、パッカリングを試縫いで確認し、アイロンは表示された温度条件に従います。
似ている用語との違い
吸湿発熱は、水分を吸着する際に生じる熱を利用する機能です。遠赤外線加工とは機能の考え方が異なり、両方を備える素材もあります。吸光熱変換は太陽光を吸収して熱へ変える機能であり、日照条件の影響を受けます。
蓄熱は受けた熱をためて放出しやすくする機能を指し、遠赤外線加工と併記されることがあります。いずれも保温性そのものを直接示す用語ではないため、衣料としてのあたたかさは生地構造や衣服設計を含めて判断します。





