人台とは
人台とは、人体の胴体や全身の形状・寸法を模した立体模型で、立体裁断、仮縫い、シルエット確認、ディスプレイなどに用いる服づくりの道具です。
定義と概要
人台は、衣服を着せ付けて立体的な形やゆとりを確認するための人体模型です。主に胴体型が用いられ、バスト、ウエスト、ヒップ、肩などの基準位置を備えたものもあります。パターンだけでは把握しにくい、衣服の見え方やバランスを確認できます。
アパレルの現場では、トルソーと呼ばれることもあります。トルソーは胴体を指す場合が多い一方、人台は立体裁断や仮縫いに使う製作用の模型を指して用いられることがあります。呼び方の範囲は現場によって異なります。
使う部位と役割
人台は身頃、衿、袖、スカートなど、衣服全体の立体的な関係を確認するために使います。肩線の位置、アームホールの形状、衿の返り、ダーツや切替線の向き、裾の水平感などを見ながら、パターンや縫製仕様を調整します。
立体裁断では、人台にシーチングなどをピンで留め、身体の曲面に沿わせながら布を組み立てます。地の目を整え、基準線に合わせて印を付けることで、平面のパターンへ展開するための土台になります。
素材と種類
本体は発泡素材、硬質素材、布張り素材などでつくられます。布張りの人台はまち針を打ちやすく、立体裁断や仮縫いに向きます。硬い表面のものは、ピンの使用可否を事前に確認する必要があります。
種類には婦人用、紳士用、子ども用のほか、上半身型、全身型、パンツ用などがあります。バストやヒップの形状、肩の傾斜、背中の厚みは人台ごとに異なるため、企画する対象者やアイテムに近い体型を選ぶことが重要です。
高さを調整できるスタンド付きのものは、裾線や着丈を確認しやすくなります。サイズ調整機構を持つタイプもありますが、調整後の体型は実際の人体の骨格や肉付きと完全には一致しないため、確認用途を限定して使います。
主な用途
企画・パターン工程では、立体裁断、トワルチェック、仮縫い、パターン修正に用います。縫製工程では、縫い上がりのシルエット、衿や袖の収まり、表地と裏地のつれなどを確認する際に役立ちます。
撮影や店舗展示に使う胴体模型も広くトルソーと呼ばれます。ただし、展示用は見栄えを重視した形状で、製作用人台とは寸法設定やピンの打ちやすさが異なることがあります。製作確認には、原則として服づくり用の人台を用います。
選び方と取り扱い・縫製上の注意
選定時は、対象となる性別・サイズ区分だけでなく、バスト、ウエスト、ヒップ、背肩幅、首まわり、肩傾斜などの寸法と形状を確認します。量産品のフィット確認では、企画サイズに対応する人台を基準にし、必要に応じて実際の着用者による確認も行います。
立体裁断では、前後中心線やバストラインなどの基準テープを正確に貼り、シーチングの地の目をそれらに合わせます。人台の表面を傷めないピンを選び、強く引っ張った状態で布を固定しすぎないことが、自然なゆとりと着用感の確認につながります。
人台は直射日光、高温多湿、強い荷重を避けて保管します。表面の布張りが汚れると淡色生地へ移るおそれがあるため、必要に応じてカバーを掛けます。スタンドの固定状態も定期的に点検し、作業中の転倒を防ぎます。
よくある質問
人台とトルソーの違いは何ですか。
展示用トルソーを立体裁断に使えますか。
ピンを打てる表面で、企画サイズに近い寸法と体型であれば補助的に使えます。ただし、展示用は衣服を美しく見せるために人体寸法と異なる造形のことがあります。立体裁断や量産前の検討には、製作用人台での確認が適しています。
人台に生地を留めるときの注意点は何ですか。
基準線と生地の地の目を合わせ、片側だけを強く引っ張らないように留めます。ピンは人台の表面材に適したものを使用し、縫い代や必要なゆとりを残して作業します。薄地や傷つきやすい生地は、ピン穴や引きつれにも注意が必要です。





