渡り・肩線とは
渡り・肩線とは、肩パットの平面的な大きさを示す表示で、渡りは肩先側へ張り出す方向の寸法、肩線は首側から袖側へ沿う方向の寸法です。
定義と概要
渡り・肩線は、肩パットの形状と対応する肩まわりを把握するための寸法表示です。一般に渡りはパットの横方向の張り出しを、肩線は首側から肩先・袖側へ続く長さを表します。
ただし、寸法の記載順序や測定方向は製品ごとに異なることがあります。表示された数値だけでなく、図示の有無、左右の向き、平置き時の測定であるかを確認することが重要です。
使う部位と役割
肩パットは、身頃の肩線付近で、表地と裏地の間または見頃の内側に配置します。肩の傾斜を補整し、袖山から肩先にかけての輪郭を整え、ジャケットなどの立体的なシルエットを支えます。
渡りが大きいパットは肩先への張り出しが増えやすく、肩線が長いパットは肩線に沿って支える範囲が広くなります。衣服の肩幅、袖付け位置、着用者の肩傾斜との整合が必要です。
素材と種類
肩パットには、弾力を持つフォーム材、不織布、わた状の素材などを単独または組み合わせたものがあります。素材、厚み、端部の薄さによって、支える力、なじみ方、表地への響き方が変わります。
形状では、セットイン袖用、ラグラン袖用、くるみ仕様のものなどがあります。渡り・肩線は同じでも、カーブ、厚みの位置、袖側の形状が違えば、仕上がる肩の表情も異なります。
- セットインパットは、セットイン袖の肩線と袖山に合わせて用います。
- ラグランパットは、衿ぐりから脇下へ斜めに入るラグラン線に対応した形状です。
- くるみパットは、表面を生地で包んだ仕様で、薄地への当たりを抑える目的で用いられます。
主な用途
渡り・肩線の表示は、主にジャケット、スーツ、コート、制服、フォーマルウエアなどで肩パットを選定するときに用います。服種だけでなく、肩幅やデザイン上の肩先位置に応じて寸法を検討します。
薄手のブラウスやカットソーでは、厚みや端部の段差が表面に出やすいため、小ぶりで薄い仕様が選ばれることがあります。厚地のアウターでは、表地の厚みと仕立てに合わせて保持力も確認します。
選び方と縫製上の注意
パターン上の肩線長さ、実際の肩幅、袖山の高さ、表地の厚みを照合して選びます。渡りが大きすぎると肩先が不自然に張り出し、短すぎると肩先を十分に支えられないことがあります。
縫い付ける前に、左右を仮止めして着用確認を行います。パットの首側と袖側を取り違えず、厚い側やカーブの向きを確認し、肩線や袖付け線を引きつらせない位置に軽く固定します。
- 寸法は平面的な測定値であり、着用時の立体的な見え方とは一致しません。
- 肩線の長さは、衣服の実寸だけでなく、衿ぐり側と袖側の収まりを見て判断します。
- 左右の高さ、張り出し、袖山のなじみを人台または着用で確認します。
よくある質問
渡りと肩線は、衣服の肩幅を示す寸法ですか。
いいえ。渡り・肩線は基本的に肩パット自体の大きさを示すための寸法です。衣服の肩幅やパターンの肩線長さと直接同じ意味ではありません。パットの形状、取り付け位置、厚みにより、着用時の肩幅の見え方は変わります。
渡りと肩線の記載順序は決まっていますか。
記載順序には注意が必要です。渡りを先に示す場合も、肩線を先に示す場合もあります。数値だけで判断せず、商品説明の表記、寸法図、平置き時の測定方向を確認してください。不明な場合は現物見本で形状を確かめます。
肩パットの渡りは大きいほどよいですか。
一概にはいえません。渡りが大きいと肩先の張り出しを作りやすくなりますが、衣服の肩幅やデザインに対して過大だと不自然なシルエットになります。肩線の長さ、厚み、肩傾斜、表地の性質と合わせて選定します。





