グレースケールとは
グレースケールとは、染色堅牢度試験後の試験片について、色の変化や他の生地への汚染の程度を標準見本と比較して等級判定するための尺度です。
目次6項目
定義と概要
グレースケールは、色の濃淡が異なる標準見本を用い、試験前後の色差を視感比較して判定する道具・評価尺度です。主に染色堅牢度、すなわち洗濯や摩擦などに対する色の耐久性を確認する試験で使われます。
評価には、試験片自体の色がどの程度変わったかを見る変退色用と、試験片から添付白布などへ色が移った程度を見る汚染用があります。いずれも生地の組織、素材、風合いを示す名称ではありません。
判定対象と特徴
変退色用グレースケールは、洗濯、汗、光、摩擦などの作用による試験片の褪色や変色を評価します。汚染用グレースケールは、試験時に接触した別布への色移りを評価します。通常は、等級が高いほど色の変化または汚染が小さいことを表します。
判定は規定された照明環境や観察条件で行うことが重要です。光源や周囲の色、判定者の見え方によって印象が変わり得るため、標準見本との比較条件をそろえます。色の見え方に関わる評価であり、手触り、厚み、伸縮性、縮みを直接判定するものではありません。
- 変退色:試験片そのものの色の変化を評価します。
- 汚染:接触した添付布などへの色移りを評価します。
- 評価対象:洗濯、摩擦、汗、耐光など、試験目的ごとに異なります。
主な用途
生地や製品の染色・プリントの品質管理、素材選定、検品に用いられます。シャツ、カットソー、デニム、ユニホーム、スポーツ衣料、裏地など、洗濯や着用時の色移りが問題になり得る幅広い衣料で確認されます。
濃色品、配色品、淡色と組み合わせる製品では、汚染の評価が特に重要になります。耐光性が求められる用途では、光による変退色の試験結果も、企画段階での素材比較や表示検討に役立ちます。
選び方と取り扱いの注意点
要求する性能は、用途、着用条件、洗濯方法、組み合わせる色によって設定します。試験名だけで良否を判断せず、乾燥時と湿潤時の摩擦、洗濯時の変退色と汚染など、製品に必要な試験条件と評価対象を仕様書で明確にします。
グレースケールの判定値は、縮率や縫製の可否を示すものではありません。製品洗い、後加工、縫製時の熱や蒸気、濃淡配色などを採用する場合は、完成品に近い状態で色移りや変色を確認します。保管中の光、湿気、ガスによる変色も別途考慮が必要です。
似ている用語との違い
堅牢度は、洗濯、摩擦、汗、光などに対して色がどれだけ耐えるかという性能全体を指します。グレースケールは、そのうち変退色や汚染を判定する際に用いる比較尺度です。したがって、グレースケール自体が生地の堅牢度性能ではありません。
耐光堅牢度、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度は、それぞれ特定の作用に対する試験・性能項目です。各試験で変退色または汚染の評価にグレースケールが用いられることがありますが、試験方法や評価項目は同一ではありません。
よくある質問
変退色用と汚染用のグレースケールは何が違いますか。
変退色用は、試験後に試験片自体の色がどれほど変化したかを判定します。汚染用は、試験片から添付白布などの別素材へどの程度色が移ったかを判定します。確認したい現象に応じて使い分けます。
グレースケールの等級が高ければ、すべての色落ち問題を防げますか。
防げるとは限りません。評価結果は、対象となる試験条件での性能を示すものです。洗濯、湿潤摩擦、汗、光などでは色の変化の要因が異なるため、製品の用途、配色、取扱い表示に応じた複数の試験結果を確認します。





