段返りとは
段返りとは、主にテーラードジャケットの前ボタンを3個配置し、上側の1個をラペルの返りに隠して、通常は中央と下側の2個で留める仕立てです。
定義と概要
段返りは、シングル前のテーラードジャケットで用いられるボタン配置とラペルの返り方の仕様です。前身頃には3個のボタンが付きますが、最上部のボタンはラペルの折り返し線より内側に位置し、表から見えにくくなります。
英語ではロールトゥーツー、またはスリーロールツーと呼ばれます。3個のボタン穴を設けながら、着用時には中央のボタンを主に留めるため、2つボタンに近い見え方と、3つボタン特有の縦長のバランスを両立しやすい仕様です。
ボタンとボタンホールの構造
段返りはボタンの種類や素材を指す言葉ではありません。そのため、二つ穴ボタン、四つ穴ボタン、足つきボタンのいずれも使え、樹脂、貝、水牛、金属などの素材も服地の厚み、用途、意匠に応じて選択されます。
最上部にもボタンとボタンホールを付けることが多い一方、ラペルの返りで隠れる位置になるため、穴かがりやボタン付けの見え方を含めて確認します。ラペルが自然に返るよう、上側のボタン位置、ゴージライン、芯地の設計を整えることが重要です。
- 前ボタンは一般的に3個です。
- 通常は中央のボタンを留め、下側は留めない着方が基本です。
- 最上部はラペルの返りの内側に入り、飾りのように見える場合があります。
サイズ表記と主な用途
段返り自体には固有のボタンサイズはありません。ボタン径はリーニュまたはmmで指定し、服地の厚み、前立ての幅、ボタンホールの長さ、全体のバランスに合わせます。リーニュはボタンの直径を表す単位で、資材発注時はmm表記との対応確認が必要です。
主な用途は、メンズのテーラードジャケットやスーツジャケット、ブレザーです。カジュアルジャケットにも採用されます。段返りではラペルのロール感が見た目を左右するため、ボタン単体だけでなく、衿型や前身頃の構造と併せて仕様を検討します。
縫製と取り扱いの注意点
縫製では、ボタン位置とボタンホール位置をパターンと仕様書で明確にし、試着状態でラペルが上ボタンを適切に隠すか確認します。上ボタンが外側に見え過ぎたり、ラペルが不自然に浮いたりする場合は、ボタン位置や返り線、芯地の設計を見直します。
洗濯やドライクリーニング、アイロンへの耐性は、段返りではなく使用するボタン素材と服地により異なります。熱や薬剤で割れ、変色、表面劣化が起こるおそれがあるため、製品の洗濯表示とボタンの取扱条件を確認し、アイロンはボタンへ直接強く当てないようにします。
似ている用語との違い
3つボタンジャケットは、3個すべてのボタンがラペルの外側に見え、上側を留められる仕様も含む広い呼び方です。これに対して段返りは、上側のボタンがラペルの返りに隠れる点が特徴です。
二つボタンジャケットは前ボタンが2個であるのに対し、段返りは3個のボタンを持ちます。また、本切羽は袖口のボタンホールを実際に開閉できる仕様であり、前身頃のラペルとボタン配置を表す段返りとは別の仕立て用語です。
よくある質問
段返りの上のボタンは留めてもよいですか。
上のボタンはラペルの返りの内側にあるため、通常は留めずに着用します。無理に留めるとラペルのロールが崩れたり、前身頃に引きつれが出たりすることがあります。ただし、設計によっては留められる場合もあるため、製品仕様を確認します。
段返り用のボタンに決まったサイズや穴数はありますか。
段返りと3つボタンジャケットは同じですか。
段返りは3つボタンジャケットの一種ですが、同義ではありません。3つボタンはボタン数を表すのに対し、段返りは最上部のボタンがラペルの返りに隠れ、主に中央のボタンで留める具体的な仕立て仕様を表します。





