クロー値とは
クロー値とは、衣服が人体から逃げる熱を抑える程度を示す保温性の指標で、数値が高いほど一般的に断熱性が高いことを表します。
定義と概要
クロー値は、衣服または衣服の組み合わせが持つ熱抵抗、すなわち体温による熱の移動を妨げる度合いを表す単位です。生地そのものの厚みや素材名ではなく、着用状態を含む保温性能の目安として用います。
数値が高いほど、静止した空気を多く保ちやすく、身体から周囲へ熱が逃げにくい傾向があります。ただし、着用者の活動量、気温、風、湿度、重ね着のすき間などでも実際の暖かさは変わります。
風合いと機能の特徴
高いクロー値につながりやすい衣服は、起毛、パイル、中わた、ダウンなどによって空気層をつくるため、かさ高でやわらかな見た目や風合いになりやすいです。一方で、クロー値だけから表面感、ドレープ性、通気性を判断することはできません。
同じ素材や目付でも、編織組織、起毛の程度、裏地の有無、ゆとり量、重ね着の構成で保温性は変わります。防風性や透湿性はクロー値とは別の性能であり、寒冷時の快適性を考える際には併せて確認します。
主な用途
クロー値は、秋冬衣料、防寒アウター、ワーキングウェア、アウトドアウェア、寝装・室内着などで、使用環境に応じた保温設計を検討する際に役立ちます。単品の衣服だけでなく、肌着からアウターまでを重ねた着衣全体の評価にも用いられます。
企画では想定気温だけでなく、屋外か屋内か、立ち仕事か運動時か、風雨への対応が必要かを整理します。活動量が多い用途では、保温性を高めすぎると蒸れにつながることがあるため、透湿性や換気仕様とのバランスが重要です。
- 低活動時や休憩時を想定する防寒着
- 通勤や日常着向けの秋冬アウター
- 作業環境に応じたユニホーム
- レイヤリングを前提とするアウトドアウェア
選び方と取り扱いの注意点
クロー値を比較するときは、試験方法、単体衣料か着衣組み合わせか、下着や姿勢などの条件を確認します。異なる条件で得られた値は単純比較できない場合があるため、数値だけで製品の暖かさを決めず、用途に近い評価条件を選びます。
洗濯、乾燥、圧縮保管などで中わたのかさ高や起毛の毛並みが変わると、空気層が減って保温性が低下することがあります。洗濯表示に従い、必要に応じて形を整えて乾燥させます。縮みはクロー値そのものではなく、表地や中材の素材・加工により異なるため、別途確認が必要です。
縫製では、キルティングの間隔や中わたの固定方法、縫い目からの冷気の入り方が保温性に影響します。中わた入り製品は、縫いずれ、わた切れ、偏りを防ぐ仕様を検討し、表地と裏地の滑りや縫製時の送りも確認します。
似ている用語との違い
保温性は、衣服や生地が熱を逃がしにくい性質を広く示す言葉です。クロー値はその保温性を衣服の熱抵抗として数値化するための指標です。目付は単位面積当たりの質量を示す規格であり、重い生地ほど必ずクロー値が高いとは限りません。
フィルパワーは、主にダウンのかさ高性を評価する指標です。ダウン製品の保温設計に関係しますが、衣服全体の断熱性を示すクロー値とは対象が異なります。
よくある質問
クロー値が高ければ暖かい服といえますか。
生地の目付だけでクロー値は判断できますか。
判断できません。目付は生地の重さを示す値であり、保温性には厚み、含気量、起毛、中わた、組織、衣服内の空気層などが関わります。同程度の目付でも構造や仕立てによってクロー値は異なるため、用途に近い条件での評価が必要です。
洗濯でクロー値は変わりますか。
中わたのかさ高低下、ダウンの偏り、起毛のつぶれなどが起きると、衣服内に保たれる空気層が減り、保温性が変化することがあります。変化の程度は素材や製品仕様によって異なるため、洗濯表示に従い、量産前には洗濯後の状態も確認します。





