毛並みとは
毛並みとは、起毛やパイルなどで表面の繊維が一定方向に倒れている状態、およびその方向を指し、見る向きや触れる向きによって色の濃淡や光沢、手触りが変わる生地の性質です。
定義と概要
毛並みは、起毛、パイル、毛羽などが表面に形成された生地で、繊維が寝ている方向をいいます。毛並みに沿って見た場合と逆らって見た場合では光の反射が異なるため、同じ生地でも明暗や光沢感が変化します。
裁断・縫製では、各パーツの毛並みをそろえることが重要です。方向が混在すると、色違いのように見えることがあります。毛並みは織り組織そのものではなく、生地表面の状態と方向に関する用語です。
見た目と風合いの特徴
毛並みのある生地は、なでる向きによって滑らかさや抵抗感が変わります。一般的に、毛並みに沿って触ると滑らかに感じられ、逆らうと毛が立ち上がり、やや強い手触りや深い色調に見えます。
特に毛足が比較的長い生地や光沢のあるパイル生地では、方向差が目立ちやすくなります。照明の角度でも見え方が変わるため、生地見本は一方向だけでなく、向きと角度を変えて確認する必要があります。
- 並毛は、一般に毛並みに沿う方向を指します。
- 逆毛は、一般に毛並みに逆らう方向を指します。
- 並毛・逆毛の呼び方や採用する方向は、生地や製品分野によって用法が異なる場合があります。
主な用途
毛並みへの配慮が必要な代表例は、ベルベット、別珍、コーデュロイ、ベロア、ボア、フェイクファー、起毛ウールなどです。秋冬向けのコート、ジャケット、ワンピース、パンツのほか、舞台衣装やドレス、インテリア用途にも用いられます。
パーツの面積が大きい衣服や、照明を受ける場面では毛並みの差が特に見えやすくなります。衿、ポケット、見返し、ベルトなどの小さなパーツも含め、製品全体で方向を統一することが外観品質につながります。
裁断と縫製の注意点
通常の生地は差し込み裁断で用尺を抑えられる場合がありますが、毛並みのある生地は全パーツを同方向に配置する一方裁ちが基本です。そのため、必要用尺が増えることを企画段階で見込む必要があります。
裁断前には生地を一方向に整え、表裏と毛並み方向を明記します。裁断中に生地がずれやすい場合は、重ね枚数を控えめにし、押さえによる毛倒れや裁断端の乱れを確認しながら作業します。
縫製では、送りによるずれ、縫い代部分の毛の巻き込み、アイロンによる毛つぶれに注意します。縫い目から毛を目打ちなどで整える処理や、当て布・浮かしアイロンを用いるなど、生地に応じた工程検討が必要です。
洗濯と保管の注意点
毛並みの変化は、繊維の種類、毛足、仕上げ加工、洗濯方法によって異なります。洗濯や摩擦で毛が寝たり乱れたりすると、白っぽく見える箇所や色むらのような見え方が生じることがあります。必ず生地または製品の洗濯表示と試験結果を確認します。
毛並みのある生地で縮みが生じる場合、寸法変化に加えて毛並みや表面感も変わることがあります。量産前には洗濯試験を行い、縮率だけでなく、毛倒れ、光沢変化、摩擦による外観変化を確認することが大切です。
保管時は、強い圧力や折り目によって毛並みがつぶれないよう配慮します。ハンガー保管や、毛並みを乱しにくい畳み方を生地特性に応じて選び、長期保管前には湿気や汚れも取り除きます。
よくある質問
毛並みのある生地は、なぜ裁断方向をそろえる必要がありますか?
毛並みの向きが異なるパーツは、光の反射や毛の倒れ方が変わり、同じ色でも濃淡差のように見えるためです。前身頃、後身頃、袖だけでなく、衿やポケットなども含めて方向を統一し、裁断指示に明記します。
毛並みと起毛はどのように違いますか?
起毛は、生地表面の繊維をかき出して毛羽を立てる加工や、その状態を指します。毛並みは、起毛やパイルなどによって生じた表面繊維が倒れている方向です。起毛生地には毛並みが現れる場合がありますが、両者は同じ意味ではありません。
毛並みのある生地は洗濯で縮みやすいですか?
毛並みの有無だけで縮みやすさは判断できません。縮みは素材、組織、加工、洗濯条件などに左右されます。ただし洗濯や摩擦で毛倒れや風合いの変化が起きることがあるため、寸法だけでなく外観も含めて事前に洗濯試験を行います。





