尾州とは
尾州とは、愛知県西部から岐阜県西濃地域にまたがる、毛織物を中心に糸づくり・織編み・染色整理などの工程が集積する繊維産地です。
定義と概要
尾州は、主に愛知県一宮市・尾張地域と岐阜県羽島市などを含む地域で形成された繊維産地です。特定の素材名、織物組織名、ブランド名ではなく、複数の事業者と工程が集まる産地の呼称です。
羊毛を用いる毛織物で広く知られますが、実際にはウール以外の繊維や、それらを組み合わせた生地も扱われます。そのため「尾州」との表記だけでは、素材混率や生地の性能までは判断できません。
産地の背景と得意な技術
尾州では、糸の企画、撚糸、染色、織り、編み、整理加工、検反までに関わる事業者が地域に集積しています。工程ごとの専門性を組み合わせ、生地の企画から仕上げまで対応しやすいことが特徴です。
特に先染めは、糸の段階で染め分けてから織り上げる方法です。色糸を使った格子柄、杢調、深みのある色表現に活用されます。原料や糸、組織、加工を組み合わせ、幅広い風合いを設計します。
- ウールや獣毛を主体とした梳毛・紡毛の織物
- 先染めによるチェック、ストライプ、杢調の表現
- 織物に加え、編地や混紡・交織素材の企画
- 縮絨や起毛など、風合いを整える整理加工
代表的な生地と用途
尾州で扱われる生地には、スーツ地に用いられるサージやギャバジン、ジャケット・コート向けのツイード、フランネル、メルトンなどがあります。同じ生地名でも、糸の太さ、密度、目付、加工によって厚みや表情は異なります。
用途はテーラードジャケット、スラックス、コート、スカート、ワンピースなどが中心です。軽量な梳毛織物はセットアップにも用いられ、起毛や縮絨を施した生地は秋冬向けのアウターに使われることがあります。
仕入れ時の確認事項
「尾州産」「尾州生地」という表記は、産地との関わりを示す場合がありますが、原料の産地、紡績地、織編み地、染色整理地のすべてが尾州とは限りません。どの工程を産地として表記しているか、仕入先に確認することが重要です。
生地を選ぶ際は、混率、組織、目付、生地幅、仕上げ加工、洗濯やドライクリーニングへの適性を確認します。先染めの柄物は、柄合わせによる用尺増加も想定して、パターン段階で柄の大きさとリピートを確認します。
継続生産では、反ごとの色差や風合いの差、在庫数量、追加生産時の最小ロット、納期を事前に確認します。別注色や別注柄は量産までに工程を要する場合があるため、見本反やラボディップによる承認条件も明確にします。
- 産地表記が指す工程と、混率・原料情報
- 在庫反か受注生産か、追加時の最小ロット
- 量産および追加生産に必要な納期
- ロット差、縮率、堅牢度、毛羽立ちなどの品質条件
- 柄リピート、柄方向、柄合わせを含む用尺
似ている用語との違い
尾州は産地名であり、ウール、ツイード、フランネル、メルトンのような素材名・生地名とは区別します。例えば、尾州で生産されたツイードはあり得ますが、すべてのツイードが尾州産という意味ではありません。
播州織、遠州、岡山デニムなども生地の産地を指す呼称です。ただし、地域ごとに集積する工程や得意とする素材・製品分野は異なります。産地名から仕様を決めず、個別生地の規格と品質を確認します。
よくある質問
尾州生地はすべてウール100%ですか?
いいえ。尾州は生地の素材名ではなく産地名であるため、ウール100%に限りません。ウールとポリエステル、ナイロン、カシミヤなどを組み合わせた素材や、ウール以外を主体とする生地もあります。必ず品番ごとの混率と規格を確認します。
「尾州産」と表示された生地では何を確認すべきですか?
まず、織編み、染色整理、糸づくりなど、どの工程が尾州で行われたものかを確認します。加えて、混率、目付、生地幅、在庫か受注か、最小ロット、追加生産の納期、色差や縮率などの品質条件を仕様書に整理すると安心です。





