AQLとは
AQLとは、製品ロットから抽出した試料の不良数を基準に、そのロットを合格または不合格と判定する抜き取り検査の品質水準です。
定義と概要
AQLは、合格品質水準とも呼ばれる、抜き取り検査に用いる品質管理上の考え方です。ロット全数を確認せず、一部を抽出して検査し、あらかじめ定めた合格判定数と照合してロットの受入可否を判定します。
AQLは、不良品の混入を許容するという意味ではありません。検査量と品質リスクのバランスを取るための判定方法であり、製品仕様、検査水準、不良の重要度と組み合わせて運用します。
製品づくりにおける位置づけ
アパレル生産では、量産前の仕様確認、縫製中の工程内確認、完成品の出荷前検品など、複数の段階で品質を管理します。AQLは主に、完成した製品ロットを出荷または受入する際の抜き取り検査に用いられます。
AQLによる最終判定だけでは、工程で発生する不良を防げません。PPサンプルなどで仕様を確定し、縫製中に不良傾向を把握して是正することが、手直しや納期遅延の抑制につながります。
- 仕様書に検査対象、採寸箇所、外観基準、表示内容を明記します。
- 不良は致命的不良、重大不良、軽微不良などに区分して判定基準を決めます。
- ロットの範囲、抽出数、検査場所、判定の責任者を事前に共有します。
進め方と実務のポイント
実務では、まずロット数量に応じて検査する数量を定め、抽出品を偏りなく選びます。次に、外観、縫製、寸法、付属の取付状態、汚れ、表示などを確認し、不良区分ごとに不良数を集計します。
集計結果を合格判定数と不合格判定数に照らして判定します。不合格となった場合は、単に再検査するのではなく、不良の発生工程、発生箇所、色やサイズごとの偏りを調査し、選別、補修、再生産などの対応を協議します。
- 検査前に、正品見本と限度見本を用意して判定のばらつきを減らします。
- 寸法は寸法公差を基準に測定し、測定方法も統一します。
- パッカリングや目飛びなどは、許容の可否を写真や見本で合意しておくと有効です。
- 不良率だけでなく、不良内容と発生傾向を記録して工程改善に活用します。
発注時の品質管理と注意点
発注者と縫製工場の間では、AQL値だけを指定しても十分ではありません。どの不良をどの区分にするか、検査規格の版、ロットの定義、再検査時の扱いまでを、発注書や検品基準書で合意する必要があります。
特に安全性や法令表示に関わる事項、異物混入、検針不良、重大な機能不良は、一般的な外観不良と同列に扱わないことが重要です。AQLで合格となっても、個別に出荷不可とする条件を定める場合があります。
似ている用語との違い
抜き取り検査は、ロットの一部を調べて全体を判定する検査方法そのものです。これに対してAQLは、その抜き取り検査で用いる品質水準や判定条件を指します。現場では両者を近い意味で呼ぶこともあります。
検品は、製品の状態を確認する作業全般を指す広い言葉です。全数検品にも抜き取り検査にも用いられます。AQLは検品のうち、抽出数と不良数にもとづいてロット判定を行う運用に関わる用語です。
よくある質問
AQL検査で合格なら、不良品が混入していても出荷できますか。
AQL検査の合格は、定めた抽出方法と判定条件においてロットを受け入れる判断です。個々の不良品を容認する意味ではありません。安全性、法令表示、検針不良などは、AQLとは別に出荷不可条件として管理することが重要です。
発注時にAQL以外で決めておくべきことは何ですか。
AQL値に加え、ロットの範囲、抽出方法、不良の区分、外観と寸法の許容基準、検査場所、再検査の条件、判定責任者を明確にします。正品見本や限度見本を共有すると、発注者と工場の判定差を抑えやすくなります。





