スエードとは
スエードとは、主に革の裏面を細かく起毛して、短い毛足によるしっとりした手触りとマットな外観を出した素材です。
定義と概要
スエードは本来、動物の皮をなめした革の裏面をバフ掛けなどで起毛した革を指します。織物や編物の組織名ではなく、短い毛羽による表面表情を表す名称です。
アパレルでは、ポリエステルなどでスエードに似た質感を表現した「スエード調」の布帛・ニットも流通します。天然皮革のスエードとスエード調生地は、素材、性能、手入れ方法が異なるため、表示内容を確認します。
特徴
表面に細かな毛羽があり、光の当たり方や毛並みの向きで濃淡が見えることがあります。光沢を抑えた落ち着きと、やわらかく温かみのある風合いが特徴です。
天然皮革のスエードは、部位や個体による表情の差が出やすく、水分や油分の影響を受けやすい素材です。一方、スエード調生地は素材構成や加工により、ストレッチ性、洗濯性、厚み、ドレープ性が大きく異なります。
- 毛並みの方向により色差のように見えることがあります。
- 起毛面は摩擦で毛羽が寝て、アタリやテカリが生じることがあります。
- 裁断時に毛並みをそろえると、製品の見え方を整えやすくなります。
主な用途
天然皮革のスエードは、ジャケット、コート、スカート、パンツ、靴、バッグなどに用いられます。起毛感を生かした秋冬向けの企画で選ばれることが多い一方、厚みや仕上げによっては通年の小物にも使われます。
スエード調生地は、シャツ、ブラウス、ワンピース、スカート、パンツ、ジャケット、舞台衣装などに使われます。軽量なものやストレッチ性のあるものもあり、革では出しにくい仕様や縫製に対応しやすい場合があります。
選び方と取り扱いの注意点
選定時は、天然皮革かスエード調生地かを分けて確認し、組成、厚み、目付、伸縮性、裏面の状態、洗濯表示を仕様と照合します。天然皮革は色ぶれや表情差も見込んで、裁断前に全体を確認することが重要です。
天然皮革のスエードは水洗いにより硬化、変形、縮み、色変化が起こるおそれがあるため、一般的には洗濯表示に従い、必要に応じて専門的なクリーニングを検討します。スエード調生地も、素材や加工によって洗濯後の縮みや風合い変化が異なるため、事前に試験を行います。
縫製では毛並みの方向をパターン上で統一し、裁断時の一方向取りを検討します。起毛面は縫いずれや送り跡が出る場合があり、針穴が目立つこともあるため、試し縫いで針、糸、押さえ圧、縫い目条件を確認します。
似ている用語との違い
ベロアやベルベットは、織物・編物のパイルをカットして毛羽立たせた素材です。スエードは本来は起毛した革であり、構造が異なります。ただし、スエード調生地は見た目が似ることがあります。
人工皮革は、基布に樹脂を含浸・コーティングするなどして革の構造や質感を再現した素材の総称です。スエード調の人工皮革もありますが、「スエード調」は表面外観を示す場合があり、素材区分とは限りません。
よくある質問
スエードとスエード調生地は同じですか?
同じではありません。スエードは本来、起毛した天然皮革です。スエード調生地は繊維や人工皮革で似た外観・手触りを表現した素材を指します。洗濯性、伸縮性、厚み、色差の出方が異なるため、組成と取扱い表示を確認します。
スエードは家庭で洗濯できますか?
天然皮革のスエードは、水洗いで硬化、縮み、形崩れ、色変化を起こすことがあるため、自己判断での洗濯は避け、製品の洗濯表示に従います。スエード調生地は洗えるものもありますが、必ず表示と事前試験で確認します。
スエード調生地の裁断・縫製で注意する点は何ですか?
毛並みによる色差の見え方をそろえるため、基本的には全パーツを同方向で裁断します。また、起毛面は送りずれ、押さえ跡、針穴が出る場合があります。量産前に芯地を含めた試作を行い、縫製条件を決めます。





