セリシンとフィブロインとは
セリシンとフィブロインとは、繭から得られる絹を構成するたんぱく質で、外側を覆うセリシンと繊維の主体となるフィブロインを指します。
定義と構成
セリシンとフィブロインは、蚕の繭由来の絹に含まれる代表的なたんぱく質です。フィブロインは絹繊維の中心部をつくる成分であり、セリシンはその周囲を覆い、繊維どうしを接着するように存在します。
生糸には一般的にセリシンが残っていますが、精練はセリシンなどを除去して絹本来の光沢ややわらかさを引き出す工程です。また、セリシンやフィブロインを含むシルクプロテインを繊維へ付与する加工もあります。
風合いと見た目の特徴
フィブロインを主成分とする絹は、なめらかな手触り、上品な光沢、しなやかなドレープ性が特徴です。糸の太さ、撚り、織り組織、精練の程度によって、光沢感、ハリ、落ち感は大きく変わります。
セリシンを残した素材は、精練済みの絹と比べてハリやきしみ感を感じる場合があります。シルクプロテイン加工では、素材そのものが絹でなくても、さらりとした肌触りややわらかな風合いをねらうことがあります。
主な用途
フィブロインを主体とする絹素材は、ブラウス、シャツ、スカート、ワンピース、ドレス、スカーフ、裏地などに用いられます。吸湿性と肌触りを生かし、インナーやナイトウェアに使われることもあります。
セリシンやフィブロインを利用した加工は、肌に触れる衣料のほか、寝装品や服飾雑貨にも見られます。ただし、加工による風合いや洗濯耐久性は基布と加工条件により異なるため、素材名だけで性能を判断しないことが重要です。
選び方と取り扱いの注意点
生地を選ぶ際は、絹そのものか、ほかの繊維にシルクプロテインを付与した加工品かを混用率や商品仕様で確認します。用途に応じて、光沢、透け感、目付、ドレープ性に加え、家庭洗濯の可否と寸法変化を見本で確認します。
絹は水分、摩擦、熱、アルカリ性の洗剤などの影響を受けることがあります。洗濯表示に従い、洗える仕様でも強い摩擦や長時間の浸漬を避け、形を整えて陰干しすることが基本です。加工品は洗濯により風合いが変化する場合があります。
縫製では、薄地や滑りやすい絹地では地の目のずれ、縫い縮み、針穴の目立ちに注意します。細い針と生地に適した糸を用い、試し縫いで糸調子、運針、縫い目の引きつれを確認してから量産条件を決めます。
- 裁断前に放反し、生地の歪みや縮みの有無を確認します。
- 洗い試験とスチーム試験を行い、縮率や光沢変化を確認します。
- 濃色品は湿潤時の摩擦による色移りも確認します。
似ている用語との違い
シルクは繊維としての絹を指す一般的な名称です。一方、セリシンとフィブロインは、その絹を構成するたんぱく質成分の名称です。フィブロインだけを指してシルク全体の意味に用いるわけではありません。
生糸は、繭から繰り取った後、セリシンを残した状態の絹糸です。精練は生糸などからセリシンを除去する加工工程を指します。シルクプロテイン加工は、セリシンやフィブロインなどを利用して別素材に風合いを付与する場合もあります。
よくある質問
セリシンとフィブロインのうち、絹繊維の主成分はどちらですか。
シルクプロテイン加工の生地はシルク素材ですか。
必ずしもシルク素材とは限りません。シルクプロテイン加工は、セリシンやフィブロインなどを繊維表面に付与する加工を指すことがあります。基布の種類と混用率、加工の洗濯耐久性は、必ず商品仕様や試験結果で確認します。
セリシンを含む生地は家庭洗濯できますか。
家庭洗濯の可否は、セリシンの有無だけでは判断できません。基布の素材、染色、加工方法、縫製仕様により異なります。洗濯表示を優先し、企画段階では洗濯試験で縮み、色落ち、風合い変化を確認することが必要です。





