射出成形とは
射出成形とは、加熱して溶かした樹脂を金型へ注入し、冷却して所定の形状に固める成形法で、ファスナーでは主に樹脂製務歯の製造に用いられます。
定義と概要
射出成形は、溶融した樹脂を金型の空間へ圧力をかけて流し込み、冷却・固化後に取り出す加工方法です。形状のそろった樹脂部品を繰り返し作れるため、衣料付属ではファスナーやバックルなどに用いられます。
ファスナーにおける射出成形は、ファスナーそのものの種類を示す言葉ではなく、主として務歯を作る製法を示します。射出成形された務歯を備えるファスナーは、一般に樹脂ファスナーの一種として扱われます。
構造と部品
ファスナーは、左右の務歯、務歯を保持するファスナーテープ、開閉するスライダー、端部の上止・下止から構成されます。オープン仕様では、下端に左右を着脱するための開具が加わります。
射出成形では、樹脂を金型に流して務歯の形を作り、テープへ取り付けます。務歯にはポリアセタールなどの樹脂が使われる場合があり、素材や形状は製品ごとに異なります。
- 務歯:左右がかみ合い、開閉部を形成する連続した部品です。
- スライダー:務歯をかみ合わせたり、離したりする可動部品です。
- 上止・下止:スライダーが端から抜けるのを防ぐ部品です。
- ファスナーテープ:務歯を支え、縫い付けるためのテープ部分です。
種類と仕様
射出成形で作られた務歯を用いるファスナーは、務歯サイズ、テープ色、長さ、スライダーの種類、止めの仕様を組み合わせて選びます。務歯サイズが大きいほど、外観や操作感、対応する用途も変わるため、品番だけでなく仕様全体の確認が必要です。
下端の仕様には、途中までしか開かないクローズ仕様と、左右を分離できるオープン仕様があります。また、二つのスライダーを備える逆開仕様やダブルスライダーもあり、開く位置や着用時の操作性に応じて使い分けます。
ファスナーの長さは、多くの場合、上止から下止まで、または上止から開具までの務歯が連続する部分を指します。テープ全長とは一致しないため、発注時は指定の測定基準を確認します。
主な用途と選び方
射出成形の樹脂務歯ファスナーは、軽さや耐食性が求められるアウター、スポーツ・アウトドア衣料、バッグなどに用いられます。用途に対して、開閉頻度、生地の厚み、必要な強度、見せるか隠すかといったデザイン条件を整理して選定します。
縫製では、テープ端の縫い込み量や縫い目が務歯に近づき過ぎないことを確認します。縫い目や生地端がスライダーへ噛み込むと、開閉不良の原因になります。伸縮性の高い生地や薄地では、必要に応じて芯地や伸び止めで開き口を安定させます。
洗濯、ドライクリーニング、製品洗い、熱を伴う加工を予定する場合は、ファスナー本体、テープ、スライダーを含めた適性を事前に確認します。左右のテープのねじれ、務歯のかみ合わせ、スライダーの作動を試作段階で確認することが重要です。
似ている用語との違い
ビスロンファスナーは、射出成形された樹脂製務歯を用いるファスナーを指す呼称として流通しています。一方、射出成形は、その務歯などを作る加工方法です。製法と製品の呼び方を区別して仕様書へ記載します。
コイルファスナーは、連続したらせん状の樹脂エレメントをテープに取り付けたものです。金属ファスナーは金属製の務歯を用います。いずれもファスナーの構造・材料による分類であり、射出成形とは分類の基準が異なります。
よくある質問
射出成形ファスナーとビスロンファスナーは同じですか。
射出成形のファスナーの長さはどこを測りますか。
多くの場合、ファスナー長さは務歯が連続する有効部分を基準にします。クローズ仕様では上止から下止まで、オープン仕様では上止から下端の開具側までとして扱われますが、テープ全長とは異なるため、仕入先の仕様を確認してください。
射出成形の樹脂務歯ファスナーを縫う際の注意点は何ですか。
務歯の近くへ縫い目が寄り過ぎると、スライダーが縫い糸や生地端を噛み込みやすくなります。左右のテープを同じ位置で縫い付け、開き口の伸びや波打ちを抑えることも重要です。量産前に生地条件を含めた開閉試験と洗濯試験を行います。





