下止とは
下止とは、クローズファスナーの下端で左右の務歯とスライダーの抜けを止め、開閉できる範囲の終点をつくる部品です。
定義と概要
下止は、ファスナー下端に取り付けられる止め部品です。スライダーを下げたときにその移動を受け止め、左右のテープからスライダーが外れることを防ぎます。上端でスライダーの抜けを止める上止と対になる部品です。
一般に、下止を備えたファスナーは下端が分離しないクローズファスナーです。下止そのものは務歯ではありませんが、務歯列の端部を固定し、ファスナーとしての開閉範囲を成立させる重要な部品です。
構造とファスナー仕様との関係
ファスナーは主に、かみ合って開閉部をつくる務歯、務歯をかみ合わせ・分離させるスライダー、左右を支えるファスナーテープ、上止・下止で構成されます。下止の形状や取り付け方は、コイル、樹脂、金属などの務歯の種類によって異なります。
下止のあるクローズファスナーでは、スライダーは下止より先へ動きません。一方、オープンファスナーは下端を分離できる仕様であり、下止の代わりに開具を用います。開具は箱と棒などからなり、下止とは機能が異なります。
- 務歯サイズが大きいファスナーほど、下止周辺にも相応の厚みや硬さが出やすいです。
- チェーンファスナーを製品用に加工する場合は、指定位置に下止を取り付けてクローズ仕様にします。
- 逆開ファスナーでも、下端が開かない仕様では下止が使われる場合があります。
主な用途
下止付きのクローズファスナーは、パンツやスカートの前開き・脇開き、ワンピースの後ろ開き、ポケット、ポーチなど、下端を開放する必要がない箇所に用いられます。用途に応じて、務歯の種類、務歯サイズ、スライダー形状、テープの色を選定します。
衣料では、薄地や見せたくない開きにはコンシールファスナー、強度や意匠性を求める箇所にはコイル・樹脂・金属ファスナーなどが選ばれます。ただし、いずれも下端を分離しない仕様であれば下止が開閉の終点となります。
選び方と縫製時の注意点
選定時は、開きの用途と必要な開口長に加え、生地の厚み・硬さ、洗濯や製品洗いの有無、務歯サイズを確認します。下止周辺は厚みが集中しやすいため、薄地では表への響き、厚地では段差による縫いにくさを、試作で確認することが大切です。
ファスナー長さは、多くの場合、上止から下止までの開閉できる部分を基準に表示されます。ただし、表示方法やテープ端を含む全長は仕様によって異なるため、発注時は必要な開口寸法と製品仕様書上の測定基準をそろえて確認します。
縫製では、下止を針で直接縫わないようにし、下止付近で縫い目が務歯列へ寄りすぎないよう注意します。洗濯や製品洗いを行う製品では、生地の縮率による波打ち、下止周辺への負荷、スライダーの作動を事前に評価します。
似ている用語との違い
上止はファスナー上端でスライダーの抜けを止める部品であり、下端に付く下止とは取り付け位置が異なります。務歯は左右でかみ合う連続した部品、スライダーは務歯を開閉させる可動部であり、いずれも下止とは役割が異なります。
開具は、オープンファスナーの下端を着脱可能にする部品です。下止は下端を固定してスライダーの移動を止める部品であるため、ブルゾンなどの前開きで裾まで分離させる用途には、通常、下止ではなく開具を用います。
よくある質問
下止のあるファスナーは、裾まで開くことができますか?
下止のあるクローズファスナーは、スライダーが下止で止まるため、下端を左右に分離することはできません。裾から完全に開く前開きなどには、下止ではなく開具を備えたオープンファスナーを選びます。
ファスナーの長さは下止を含めてどこから測りますか?
一般的には、上止から下止までの開閉部分の長さをファスナー長さとして扱います。ただし、テープ端を含む全長や測定位置は仕様によって異なるため、企画・発注・縫製で同じ測定基準を確認してください。
下止の近くを縫っても問題ありませんか?
下止に針が当たると針折れや縫製不良の原因になります。下止と務歯列を避けた位置に縫い線を設定し、厚地や段差の大きい素材では、押さえ金や縫製順序も含めて試し縫いで確認することが重要です。





