ICI形試験機とは
ICI形試験機とは、試験片を筒状の支持体に装着して箱内で運動させ、着用時の摩擦で生じるピリングの起こりやすさを評価する試験機です。
目次6項目
定義と概要
ICI形試験機は、生地表面に毛玉が発生する性質であるピリングを評価するための試験機です。試験片を所定の支持体に取り付け、箱内で繰り返し運動させることで、摩擦やもみ作用を与えます。試験後は表面の毛玉の状態を見本などと比較して判定します。
ICI法やICI形法は、この試験機を用いるピリング試験方法を指します。ピリングボックスと呼ばれることもありますが、試験機の箱状の試験部を指す場合と、試験機全体を指す場合があり、仕様書では意味を確認することが必要です。
評価できる特徴
試験では、繊維端部が表面に出る毛羽立ち、毛羽同士が絡む毛玉の生成、毛玉の脱落しにくさが外観にどう現れるかを確認します。判定結果は、日常使用での外観変化を予測するための比較材料になります。
ただし、ICI形試験機で得た結果は、衣服のすべての着用条件を再現するものではありません。摩擦する相手、着用部位、洗濯方法、素材の組合せによって実際の毛玉の出方は変わるため、用途に応じた総合判断が重要です。
主な用途
ニット、起毛素材、紡績糸を用いた織物など、毛羽や毛玉による見た目の変化が商品価値に影響しやすい生地の開発、受入検査、品質確認に用いられます。セーター、カットソー、ジャージー、パンツ、制服などで検討されることがあります。
秋冬物に限らず、合成繊維や混紡素材を使う通年衣料でもピリング確認は重要です。肌やバッグ、椅子などと繰り返し接触する袖下、脇、脇腹、内股などを想定し、企画段階で要求水準と試験条件を取り決めます。
試験結果の扱いと注意点
結果を比較する際は、試験片の採取方向、洗濯前後、試験回数、判定方法、照明条件をそろえる必要があります。生地の表裏や柄、起毛方向によっても見え方が異なるため、試験対象面を明確にして記録します。
縮みや洗濯によって組織の密度、毛羽の出方、表面の風合いは変化し、ピリングの評価にも影響します。製品洗い、起毛、柔軟加工などを行う商品は、できる限り最終製品に近い加工状態で確認し、必要に応じて洗濯後にも評価します。
縫製時に過度な送りや押さえ圧を加えると、縫い目周辺の表面が乱れることがあります。ICI形試験の結果は生地そのものの評価であり、縫製仕様による擦れやアタリを直接評価するものではないため、製品サンプルでの確認も必要です。
似ている用語との違い
ピリングは生地表面に毛玉が生じる現象そのものです。これに対してICI形試験機は、その起こりやすさを評価するための装置および試験方法です。抗ピルは、毛玉が生じにくくなるように素材や加工を工夫した性質・加工を指します。
フラジール形法もピリングを評価する試験方法の一つですが、試験片への作用のさせ方がICI形法とは異なります。同じ生地でも方法や条件が異なれば結果を単純比較できないため、試験報告書では試験方法を併記します。
よくある質問
ICI形試験機の結果だけで、衣服の毛玉の出やすさを決められますか。
ICI形試験機の結果は、一定条件下でのピリング傾向を比べる有用な指標ですが、実着用を完全に再現するものではありません。摩擦相手、着用頻度、洗濯、製品の縫製仕様によって外観変化は異なります。用途に近い製品評価や着用試験と組み合わせて判断します。
ICI法とフラジール形法の試験結果は比較できますか。
どちらもピリング評価に用いられますが、試験片に与える摩擦や運動の仕方が異なります。そのため、等級や判定結果を方法名なしで横並びに比較することは適切ではありません。品質基準を設定する際は、試験方法、試験条件、判定基準をそろえて管理します。





