ゴブラン織とは
ゴブラン織とは、多色の緯糸で絵画のような複雑な文様を表現する、厚みと重厚感のある紋織物の総称です。
定義と概要
ゴブラン織は、色数の多い緯糸を用いて、花柄・人物・風景・幾何学柄などの精密な文様を織り出す織物です。一般には、タペストリーを思わせる装飾性の高い厚地を指して使われます。
名称はフランスのゴブラン工房に由来しますが、現在の生地取引では、同様に多色で絵画的な柄を表現したジャカード織物を広くゴブラン織と呼ぶ場合があります。
特徴
複数色の糸が表面に現れるため、プリントとは異なる織りの立体感、色の混ざりによる深み、クラシックで重厚な見た目が得られます。糸使いと組織によっては、表裏で柄や色の見え方が異なります。
一般的に厚みと適度なハリがあり、薄地に比べてドレープは出にくい傾向です。素材には綿、ポリエステル、レーヨン、アクリルなどが用いられ、組成、密度、裏糸の量によって重さ、硬さ、耐久性は大きく変わります。
主な用途
装飾性と存在感を生かし、ジャケット、コート、スカート、ワンピース、ベスト、バッグ、舞台衣装などに使われます。生地に厚みがあるものは、構築的なシルエットや部分使いにも適しています。
秋冬向けの衣料や服飾雑貨で多く見られますが、薄手で軽い規格なら春夏向けのアイテムにも用いられます。クッションカバー、椅子張りなど、インテリア用途に使われることもあります。
- 柄が大きい場合は、前身頃・ポケット・切替位置で柄の見え方を確認します。
- 服地用とインテリア用では、風合い、幅、耐摩耗性などの設計が異なるため用途に合う規格を選びます。
選び方と取り扱いの注意点
選定時は、組成、目付、厚み、伸縮性、柄の大きさに加え、裏面の渡り糸の状態を確認します。衣料では肌当たり、引っ掛かり、縫い代の厚みが着用感や縫製仕様に影響するため、必ず試作で確認します。
洗濯による縮み、色落ち、毛羽立ち、型崩れの程度は素材と組織で異なります。家庭洗濯に適さないものもあるため、洗濯表示に従います。水洗いを予定する製品では、裁断前に縮率を確認し、必要に応じて湯通しを行います。
裁断では大柄の位置と左右の柄合わせを事前に決めます。厚地は縫い代が重なりやすいため、縫い代の始末や段差を抑える処理を検討します。裏糸を引っ掛けないよう、ミシン針、押さえ、取り扱いにも注意が必要です。
ジャカードとの違い
ジャカードは、紋様を織り出すための織り方、またはその織機・織物に関する広い呼称です。一方、ゴブラン織は、多色で絵画的、タペストリー調の文様と重厚な風合いをもつ織物を指すことが多く、ジャカード織物の一種として扱われます。
ただし、流通上の呼び方には幅があります。すべてのジャカードがゴブラン織ではなく、ゴブラン織とされる生地でも組織、素材、厚みは一様ではありません。名称だけで判断せず、生地見本と規格を確認することが重要です。
よくある質問
ゴブラン織は家庭で洗濯できますか?
家庭洗濯の可否は、繊維組成、糸の染色、織りの密度、仕上げ加工によって異なります。水洗いで縮みや風合い変化が起こることもあるため、製品または生地の洗濯表示を確認してください。量産前には洗濯試験を行い、縮率や色移りを確認します。
ゴブラン織の縫製で注意する点は何ですか?
厚みのある生地では、縫い代の重なりによる段差や縫い目のごろつきに注意します。また、柄が大きい場合は左右身頃やポケットで柄を合わせます。裏面の渡り糸は引っ掛かりやすいため、裁断・縫製中の取り扱いと縫い代始末を確認します。
ゴブラン織とプリント生地はどう違いますか?
プリントは生地表面に柄を染めたり印刷したりして表現します。ゴブラン織は色糸を織り込んで柄をつくるため、織り組織による凹凸や色の深みが出やすく、裏面にも糸の渡りや表と異なる柄の見え方が現れることがあります。





