ANSI 107とは
ANSI 107とは、作業者の視認性を高める高視認性安全服および付属する反射材・蛍光素材の性能や配置を定める米国の規格です。
定義と概要
ANSI/ISEA 107は、米国で用いられる高視認性安全服の規格です。周囲との明度差で日中の視認性を得る蛍光性の背景材と、車両の灯りを光源側へ戻す再帰性反射材について、衣服としての面積、配置、性能などを定めます。
規格への適合は、反射テープ単体ではなく、使用する背景材、反射材の種類と面積、衣服上の配置、製品区分などを含めて判断します。そのため、テープにANSI 107対応と記載されていても、完成品が規格適合であることを単独で意味するものではありません。
素材と構造
高視認性安全服には、一般的に蛍光色の織物または編物を背景材として用い、その表面に再帰性反射材のテープを縫い付ける、または熱圧着します。反射材はガラスビーズや微細なプリズム構造などを利用し、入射した光を光源に近い方向へ返します。
反射テープの基材や取付方法は製品により異なります。縫い付け用は縫製部の強度と端部のほつれ、熱圧着用は接着条件と生地との相性が重要です。伸縮性のある編地や凹凸の大きい素材では、追従性と洗濯後の外観を事前に確認します。
幅の表し方と用途
反射テープの幅は、一般にミリメートルで表示します。ANSI/ISEA 107では、必要な反射材の面積や衣服上の配置が重視されるため、テープ幅だけで適合性は判定できません。テープの長さ、衣服のサイズ展開、切替え位置を含めて設計します。
主な用途は、道路工事、物流、警備、鉄道・空港関連など、車両や機械が近くを通行する作業用衣服です。ベスト、ジャケット、パンツ、つなぎなどに用いられます。装飾目的の反射テープとは異なり、視認性が求められる用途では製品としての規格要求を確認します。
- テープ幅は仕様書にミリメートルで記載します。
- 前身頃、後身頃、袖、脚部の配置をパターン上で確認します。
- サイズごとに反射材の必要面積を満たすかを確認します。
- 縫い代へのかかりや折れ込みで有効面積が減らないようにします。
選び方と取り扱いの注意
選定時は、必要とされる製品区分、着用環境、背景材と反射材の色、衣服のデザイン、洗濯方法を整理します。規格の版や発注先が求める試験・表示条件も確認し、反射材メーカーの技術資料と完成品の仕様書を照合することが重要です。
反射材は、繰り返しの洗濯、摩擦、折り曲げ、熱、薬品などで性能や外観が変化する場合があります。洗濯は製品の取扱表示と反射材の指定に従い、漂白剤、強い溶剤、高温乾燥、過度なアイロン掛けを避ける必要があるかを確認します。端部の浮き、ひび割れ、剥離、汚れは視認性低下につながるため、使用前後に点検します。
似ている規格との違い
EN ISO 20471は、主に欧州で用いられる高視認性衣服の規格です。ANSI/ISEA 107と目的は近い一方、製品区分、要求事項、表示方法などが同一とは限りません。いずれか一方の規格に関する素材表示だけで、他方への適合を判断することはできません。
JIS T 8127も高視認性安全服に関する日本の規格です。日本国内向けであっても、採用する規格は発注者、着用現場、納入先の要求によって異なります。販売先や使用地域に必要な規格を先に確認して設計・表示します。
よくある質問
ANSI 107対応の反射テープを使えば、衣服もANSI 107適合になりますか。
なりません。ANSI/ISEA 107は衣服全体を対象とする規格であり、背景材と反射材の性能、面積、配置、製品区分、表示などを総合的に確認します。反射テープ単体の仕様だけで完成品の適合を判断せず、製品仕様と必要な試験資料を確認します。
ANSI 107とEN ISO 20471は同じ規格ですか。
どちらも高視認性安全服に関する規格ですが、同じ規格ではありません。目的は共通していても、区分、性能要求、試験方法、表示に差がある場合があります。納入先や使用地域が求める規格に基づき、素材選定から完成品評価まで行います。
反射テープは洗濯で性能が落ちますか。
洗濯、乾燥、摩擦、汚れ、熱圧着部の劣化などにより、反射性能や外観が変化することがあります。耐洗濯性は反射材の仕様と縫製・圧着条件にも左右されます。量産前に実使用に近い洗濯試験を行い、取扱表示との整合を確認します。





