務歯外れとは
務歯外れとは、ファスナーを閉じた際に左右の務歯がかみ合わず、またはかみ合った後に外れて開いてしまう不具合です。
定義と概要
務歯外れは、ファスナーの左右の務歯がスライダーによって正常に連結されない、または連結後に分離する状態を指します。開閉機能や保持性に関わるため、製品の外観だけでなく使用性にも影響します。
務歯は、ファスナーの左右をかみ合わせる連結部品です。コイル、樹脂成形、金属などの種類によって形状は異なりますが、務歯外れは、務歯とスライダーの組合せやテープへの負荷を確認すべき現象です。
構造と発生要因
ファスナーは主に務歯、左右のファスナーテープ、スライダー、上止・下止、開具で構成されます。スライダーは務歯を寄せてかみ合わせる部品であり、摩耗、変形、規格違いなどがあると、かみ合わせが不十分になることがあります。
務歯自体の欠損や変形、務歯を保持するテープ部分の損傷、スライダーの摩耗や変形、過度な横方向の力などが、務歯外れの要因になります。縫製時の熱、針当たり、テープの縫い込みも状態悪化につながる場合があります。
- スライダーを動かしても左右の務歯が連結しない
- 閉じた箇所が引張りや屈曲で開く
- 一部の務歯が欠ける、曲がる、またはテープから浮く
- スライダーの通過時に強い抵抗や引っ掛かりがある
仕様との関係
務歯サイズは、務歯をかみ合わせた部分の幅に関わる仕様です。一般的に、使用箇所の負荷、生地の厚み、求める見た目に応じて選定しますが、サイズが大きければ全ての外れを防げるわけではなく、適合するスライダーと組み合わせることが前提です。
クローズファスナーは下端が下止で固定され、オープンファスナーは開具によって左右を分けられる仕様です。逆開やダブルスライダーも含め、仕様ごとに止めや開具の構造が異なるため、務歯外れが起きた位置と部品の状態を区別して確認します。
ファスナーの長さは、多くの場合、上止から下止まで、または開具を含む務歯の有効部分を基準に示されます。ただし測定基準は仕様によって異なるため、発注やパターン指示では仕上がり寸法と測定起点を明記します。
選び方と縫製上の注意点
選定時は、用途に対する務歯の種類とサイズ、開き方、長さ、スライダーのロック機能の要否を確認します。アウターやバッグなど負荷がかかる用途では、開閉回数、内容物や生地による引張り、使用中の曲げを想定して仕様を決めます。
縫製では、務歯やスライダーに針が当たらない位置を保ち、テープだけを安定して縫い付けます。縫い代や裏地、持ち出しがスライダーや務歯に噛み込まないようにし、左右のテープを引っ張り過ぎず、波打ちやねじれを防ぎます。
洗濯や製品洗いを行う場合は、ファスナーを閉じ、他製品との絡みや強い機械作用を抑えることが重要です。量産前には実際の生地、芯地、縫製条件で開閉と引張りを確認し、洗濯後も務歯のかみ合わせを点検します。
似ている用語との違い
務歯外れは、かみ合った務歯が連結を保てない現象です。噛み込みは、生地や糸などがスライダーに入り込んで動かなくなる現象であり、原因と対処が異なります。
スライダー外れは、スライダーがファスナーテープや務歯列から抜ける状態を指します。務歯外れではスライダーが付いたまま連結が外れる場合があるため、不具合箇所を分けて記録すると原因を検討しやすくなります。
よくある質問
務歯外れが起きたファスナーはスライダー交換で直りますか。
務歯外れを防ぐため、ファスナーの長さはどのように決めますか。
開口部の必要寸法だけでなく、上止・下止または開具の位置、縫い代、見返しや持ち出しの重なりを含めて検討します。短すぎると開閉時に負荷が集中しやすく、長すぎると納まりを損ねることがあります。仕様書にはファスナー長さの測定基準と取付位置を併記します。





