糸切りばさみとは
糸切りばさみとは、縫製時に出る糸端や縫い始め・縫い終わりの余分な糸を、布地を傷めにくいよう細かく切るための小型のはさみです。
定義と概要
糸切りばさみは、縫製工程や手縫いの際に、縫い糸の糸端を切るために用いる小型のはさみです。刃先を縫い目の近くへ入れやすく、一般的なはさみよりも細かな作業に向きます。縫製工場では、糸始末や検品前の仕上げにも使われます。
握る力で刃を閉じ、手を緩めるとばねの力で刃が開く形状が代表的です。ただし、形状にかかわらず小型はさみ全般を小鋏と呼ぶ場合もあり、名称の使い分けには現場差があります。
使い方
糸を切るときは、刃先を縫い目や生地表面に強く押し当てず、切りたい糸だけを刃の間に入れて切ります。縫い目の根元に近づけて切ると糸端を短く整えられますが、縫い糸まで切らないよう、少しずつ位置を確認して作業します。
縫製中は、利き手で扱いやすい位置に置き、糸を引っ張りながら切らないことが重要です。特に薄地、起毛素材、ニットなどは刃先が生地や編み目に入りやすいため、縫い目を持ち上げるなどして切る対象を見分けます。
- ミシン縫いの開始・終了時に出る上糸と下糸を切る
- ロックミシンの糸鎖を必要な長さで切る
- ボタン付けや手まつり後の糸端を始末する
- 検品時に残った不要な糸を取り除く
種類と選び方
糸切りばさみには、ばねで開く握り鋏のほか、指穴のある小型はさみなどがあります。握り鋏は片手で連続して開閉しやすく、縫製作業で多用されます。指穴式は一般的なはさみと同様の操作感で、細部を狙って切りたい場合に選ばれます。
選定では、刃先の細さ、刃の長さ、開閉の軽さ、手になじむ持ちやすさを確認します。縫い目際の糸始末を主目的とするなら細い刃先が便利です。一方、太い糸や複数の糸を頻繁に切る場合は、刃の剛性と切れ味を重視します。
裁ちばさみは生地を裁断するための道具であり、糸切りばさみとは用途が異なります。糸切りばさみで生地を切ると刃を傷めやすく、裁ちばさみで糸だけを切り続けると細かな操作がしにくいため、用途別に使い分けます。
手入れと安全上の注意
使用後は、刃に付着した糸くずやほこりを乾いた布などで取り除き、湿気を避けて保管します。刃の合わせ部分に汚れがたまると開閉や切れ味に影響するため、無理に切ろうとせず状態を点検します。刃物用の油を用いる場合は、ごく少量にとどめ、生地や製品へ油が移らないよう拭き取ります。
刃先は鋭く、卓上からの落下や他の道具との接触で欠けたり、けがを招いたりします。使用しないときは刃先を人に向けず、ケースなどに入れて保管します。作業台に置く際も、布や糸の下に埋もれないよう定位置を決めると安全です。
よくある質問
糸切りばさみと裁ちばさみは兼用できますか?
基本的には兼用せず、用途別に使い分けます。糸切りばさみは糸端を細かく切るための道具で、生地の裁断には向きません。生地を切ると切れ味が落ちたり刃先を傷めたりすることがあります。裁断には裁ちばさみを使用します。
握り鋏と小鋏は同じものですか?
握り鋏は、指穴を通さず握って使い、ばねで刃が開く形式を指すことが多い名称です。小鋏は小型のはさみ全般を指す場合があります。そのため両者を同義で扱う現場もありますが、厳密には指す範囲が異なることがあります。
糸切りばさみの切れ味が悪くなったらどうすればよいですか?
まず刃に絡んだ糸くずや汚れを除去し、刃の欠け、ゆがみ、ばねの状態を確認します。改善しない場合は、刃物の研磨に対応した専門先への相談を検討します。無理に太いひもや紙などを切ると、状態を悪化させることがあります。





