ウーリー糸とは
ウーリー糸とは、合成繊維のフィラメント糸に捲縮やかさ高性を与え、伸縮性、柔らかさ、被覆性を高めた縫製用の糸です。
定義と概要
ウーリー糸は、主にナイロンなどの長繊維であるフィラメント糸を加工し、細かな捲縮を付与したかさ高い糸です。ふくらみがあり、引っ張ると伸びやすく、縫い目が柔らかく仕上がる特性があります。
日本の縫製現場では、特にナイロン製の加工糸をウーリー糸またはウーリーナイロン糸と呼ぶことが多くあります。一方で、素材を限定せず、テクスチャード加工を施した糸の総称として用いられる場合もあります。
素材と撚り・構造
一般的なウーリー糸はナイロンフィラメントを用い、仮撚加工などによって捲縮を与えた構造です。仮撚加工は、熱と撚りを利用して糸に巻き縮れを記憶させる加工で、糸に伸びとふくらみを生みます。
通常のミシン糸のように強い撚りで形を保つ糸とは異なり、ウーリー糸はループ状・コイル状の細かな捲縮による空気層を持ちます。このため、縫い目の当たりを和らげやすく、生地になじみやすいのが特徴です。
ポリウレタン糸のようなゴム弾性を持つ糸ではありません。ウーリー糸の伸縮性は主に捲縮が伸び縮みすることによるため、強く引き続けた際の回復性や耐久性は、素材や加工条件によって確認が必要です。
太さの表し方
ウーリー糸の太さは、デニールやテックスなどの直接番手で示されるほか、メーカー独自の呼び番手で表示されることがあります。直接番手は一定の長さ当たりの質量で表す方式で、数値が大きいほど糸は太くなります。
呼び番手は製品やメーカーにより基準が異なることがあるため、同じ数字だけで太さや適性を比較することはできません。発注時は表示番手に加え、素材、糸の構成、推奨針・縫い形式、現物のかさ高性を確認します。
捲縮によって見かけの太さが出るため、平滑な糸と単純に番手だけを比較すると、縫い目のボリュームや糸調子が想定と異なることがあります。試縫いでは、縫い上がりと伸長時の縫い目を併せて確認します。
主な用途
ウーリー糸は、伸縮性があり肌側への当たりを抑えたい製品の縫製に使われます。ロックミシンやオーバーロックのルーパー糸として使用し、縫い代端を覆う柔らかな縫い目を作る用途が代表的です。
インナー、ランジェリー、スイムウェア、スポーツウェア、ニット製品などでは、生地の伸びに追従する縫い目が求められます。表面の針糸よりも、縫い目の面積をつくるルーパー糸に用いると、かさ高性を生かしやすくなります。
- ロックミシン・オーバーロックのルーパー糸
- 肌着やランジェリーの縫い代始末
- 水着、レオタードなどの伸縮素材の縫製
- カットソーやニットの縫い代始末
選び方と縫製上の注意
生地の伸縮方向、厚み、用途に合わせて、素材と太さを選びます。ナイロン製は柔らかさと伸縮性を生かしやすい一方、製品の洗濯条件、熱への耐性、染色堅牢度などは生地との組み合わせで事前に確認します。
かさ高く摩擦が生じやすいため、通常のミシン糸と同じ設定では糸調子が安定しないことがあります。糸立てから糸調子器までの通し方、糸調子、送り、針の状態を確認し、使用する機械と生地で必ず試縫いします。
針糸に使用できる仕様もありますが、針穴や糸調子器での抵抗により、毛羽立ち、糸切れ、目飛びが起こる場合があります。ルーパー専用か針糸兼用かは製品仕様を確認し、過度な張力を避けて設定します。
よくある質問
ウーリー糸と普通のミシン糸の違いは何ですか?
普通のミシン糸は比較的平滑で、縫い目の強度や安定した縫製を重視したものが一般的です。ウーリー糸は捲縮によるふくらみと伸縮性があり、縫い目を柔らかく広がりのある状態に仕上げやすい点が異なります。
ウーリー糸は家庭用ミシンでも使えますか?
使用できる場合はありますが、ウーリー糸はかさ高く、機種や糸の太さによっては糸調子が取りにくいことがあります。まずは少量で試縫いし、針糸への使用可否、針穴の通り、糸調子と縫い目の伸びを確認することが大切です。
ウーリー糸はポリウレタン糸と同じですか?
同じではありません。ポリウレタン糸はゴムのような弾性を持つ糸であり、ウーリー糸は主にフィラメントの捲縮によって伸縮性を得ます。必要な伸び、回復性、縫製方法に応じて使い分けます。





