引き揃えとは
引き揃えとは、複数本の糸を撚り合わせずに平行な状態でそろえ、一本の糸のように給糸して編み立てや織りに用いる方法です。
目次6項目
定義と概要
引き揃えは、二本以上の単糸を撚らずにそろえて使用する糸の構成、またはその使用方法です。編機や織機へ複数本を同時に供給し、見かけの太さや量感を得ます。天竺やフライスなどの編地で用いられることがあります。
表記中の「30番手引き揃え」などは、同じ番手または異なる番手の糸をそろえた仕様を示す場合があります。ただし、本数、素材、糸番手の組み合わせは生地ごとに異なるため、表示だけで最終的な厚みを判断しないことが重要です。
特徴
糸を複数本用いるため、単糸のみで編む場合と比べて、編地に厚み、しっかり感、量感を出しやすい傾向があります。使用する糸の種類や編み密度によっては、空気を含んだカジュアルな表情や、自然な糸むら感が現れることもあります。
撚糸のように各糸が固定されていないため、工程中や着用・洗濯時に糸同士の位置関係が変化する場合があります。風合い、伸縮性、表面の見え方は、素材、番手、撚り、編組織、度目によって大きく変わります。
- 太番手の糸を使わずに、複数本で見かけの太さを調整しやすいです。
- 異素材や異色の糸を組み合わせると、杢調や奥行きのある見え方を設計できます。
- 空紡糸など、使用する単糸の性質が編地の触感や表情に反映されます。
主な用途
引き揃えの編地は、カットソー、Tシャツ、スウェット類、リブ使いなど、ほどよい肉感やラフな表情を求める製品に用いられます。天竺では身頃地、フライスでは衿ぐりや袖口などに使われるほか、身頃用として設計されることもあります。
素材構成と目付が適していれば、春夏向けのしっかりしたカットソーから、秋冬向けの重ね着用アイテムまで対応できます。引き揃え自体は季節を決める要素ではないため、厚み、通気性、起毛の有無などをあわせて確認します。
選び方と取り扱いの注意点
生地を選ぶ際は、引き揃え本数だけでなく、組成、単糸の番手、編組織、目付、仕上げ加工を確認します。特に同じ本数でも、綿、ポリエステル、ウールなどの素材や編み密度が異なれば、厚み、硬さ、伸び、洗濯後の変化は同一ではありません。
裁断前には反物を必要に応じて放反し、地の目と編地の状態を整えます。縫製では、生地の伸縮性に合わせた縫い方と糸調子を設定し、縫い縮みやパッカリングを防ぐために試縫いを行います。リブなど伸びやすい編地では、過度に引っ張らずに縫製します。
洗濯による縮みやねじれの程度は、繊維の種類、編み方、染色・仕上げ条件に左右されます。量産前には生地見本で洗濯試験を行い、縮率、斜行、外観変化を確認して、パターンや縫製仕様に反映させることが必要です。
似ている用語との違い
引き揃えは、複数本の糸を撚らずに並行で用いる点が特徴です。双糸は一般に単糸を撚り合わせて一本にした糸を指し、糸の構造が異なります。そのため、引き揃えを単純に双糸と同じ番手や同じ風合いとして扱うことはできません。
交撚糸は異なる糸を撚り合わせた糸であり、引き揃えとは撚りの有無が異なります。また、混紡は繊維の段階で異種繊維を混ぜて紡績する方法を指すのが一般的で、複数の完成糸をそろえる引き揃えとは工程が異なります。
よくある質問
引き揃えと双糸の違いは何ですか。
引き揃え生地は洗濯で縮みますか。
縮みの有無や程度は、引き揃えであることだけでは決まりません。素材、単糸の性質、編み密度、染色や防縮などの仕上げ条件が影響します。量産時は洗濯表示に沿った試験を行い、縮率と斜行を確認してから用尺や寸法を設定します。
引き揃え生地を縫うときの注意点は何ですか。
まず生地の伸びと厚みを確認し、縫い目が生地の動きを妨げない縫製仕様を選びます。針、ミシン糸、糸調子が合わないと、縫い縮みやパッカリングが起こることがあります。裁断前の放反、試縫い、洗濯後の外観確認を行うと安心です。





