
こんにちは、ApparelXサステナブルチームの木村です。
これまでApparelXサステナブルでは、さまざまなサステナブル素材やアパレル業界の取り組みをご紹介してきました。
今回ご紹介するのは、海藻を原料の一部として使用した再生セルロース繊維「SEACELL®(シーセル)」です。
実はこのSEACELL®を使用して、ApparelXではオリジナルのジャージー生地を開発しました。
今回はSEACELL®がどのような素材なのかに加えて、なぜこの素材を選び、どのような生地に仕上げたのか、商品開発の過程も含めてご紹介します。
SEACELL®(シーセル)は、ドイツのSmartfiber社が開発した再生セルロース繊維です。 特徴的なのは、セルロースにアイスランド産の褐藻を組み込んでいること。Smartfiber社によると、使用される海藻は持続可能な方法で収穫されたものとされています。SMARTFIBER AG 海藻由来の成分を繊維に取り込むことで、SEACELL®はやわらかく心地よい風合いを持つ素材として展開されています。Smartfiber社は、海藻に含まれるビタミン、アミノ酸、ミネラルなどについても紹介しています。
SEACELL®の特徴は、海藻を使っていることだけではありません。 製造工程では、化学物質を廃棄せず再利用するクローズドループ型のプロセスが採用されています。Smartfiber社は、この製造方法について、廃棄物として化学物質を排出しない環境配慮型のプロセスと説明しています。SMARTFIBER AG また、SEACELL®は生分解性・堆肥化可能な繊維として紹介されています。Smartfiber社のFAQでは、SEACELL®は家庭でのコンポストにも対応するとされています。SMARTFIBER AG 「海藻を使っている」という分かりやすいストーリーだけでなく、製造工程や廃棄後まで考えられた素材であることも、SEACELL®の魅力の一つです。
サステナブル素材には、オーガニックコットンやリサイクルポリエステル、リヨセルなど、さまざまな選択肢があります。 その中で私たちがSEACELL®に注目した理由の一つが、「サステナブルであること」に加えて、素材そのものにストーリーがあることでした。 「海藻から生まれた繊維」という分かりやすさがありながら、実際には再生セルロース繊維として、一般的なアパレル素材と同じように生地へ展開できます。 そこで、SEACELL®を特別な素材として終わらせるのではなく、実際の洋服づくりで使いやすい生地にできないかと考えました。
「SEACELL®を使う」だけではなく、「使いやすい生地」に
開発では、SEACELL®の良さを活かしながら、実際の洋服に使いやすい生地にすることを意識しました。 そこで組み合わせたのが、オーガニックコットン80%とSEACELL®20%。 コットンの自然な風合いと、SEACELL®のやわらかさを組み合わせ、Tシャツやインナーなどに使いやすいジャージー生地を目指しました。 SEACELL®を使用していることだけを前面に出すのではなく、「実際に洋服を作ったときに使いやすいか」という視点も大切にして開発しています。 ここに、以前の開発記事とのつながりを入れます。
実はこの生地の開発は、以前ブログでご紹介した「サステナブル生地開発中」の続きでもあります。 当時は、Tシャツやキャミソールなどのインナー向け生地を想定し、さまざまな混率や目付のスワッチを比較していました。そこから実際に素材を選び、生地として形にしたものが今回ご紹介するSEACELL®生地です。

完成した生地は、オーガニックコットン80%、SEACELL®20%のジャージー生地です。 160cm幅、目付140g/㎡と、比較的軽やかな仕上がりで、Tシャツやインナーなどに使いやすい生地に仕上げました。 実際の生地を触ってみると、コットンの自然な風合いがありながら、なめらかでやわらかなタッチを感じられます。
今回開発した『SEA001 シーセル天竺』については、実際の製品づくりで参考にしていただけるよう、品質検査も行いました。
まず、ピリングは4.5級という結果でした。毛玉の発生しにくさを確認する試験で、比較的良好な結果となっています。
染色堅牢度については、洗濯・汗・摩擦(乾燥・湿潤)・水の各試験で4~5級という結果でした。日常的な着用や洗濯を想定した際の色落ち・色移りの確認項目でも、良好な結果が得られています。
また、遊離ホルムアルデヒドは20μg/g以下でした。※一般的な下着・寝衣などに適用される基準値は75μg/g以下です。
サステナブル性だけでなく、実際の製品づくりで使いやすい生地であることも、試験結果から確認しています。
やわらかな風合いを活かし、インナーやTシャツなど、直接肌に触れるアイテムにおすすめです。 レディースではキャミソールなどのインナーラインや流行のシアー感を出したカットソー、メンズではTシャツやリラックスウェアなど、日常的に着用するアイテムとの相性が良い素材です。 また、ヨガ・アクティブウェアなど、素材の心地よさや環境への配慮を重視したいアイテムにもご検討いただけます。
サステナブル素材というと、特別なアイテムや限られたブランドだけが使うもの、というイメージがあるかもしれません。 私たちApparelX SUSTAINABLEチームは、そうではなく、普段のTシャツやインナーなど、日常的に使われるアイテムにもサステナブルな素材を取り入れられることが大切だと考えています。 今回素材として選定したSEACELL®も、その選択肢の一つです。
今回の生地以外のボタンやテープなどの附属でも、素材としてのストーリー性があることでサスティナブルな資材を使用した製品になった時、アプローチもしやすくなるのではないかと思います。小さな素材選びの積み重ねが、これからのアパレルづくりにつながっていくのではないでしょうか。
今回紹介した商品以外にも、ApparelXではサスティナブルな商品の取り扱いやオリジナル商品開発を進めており、随時紹介しておりますので是非ご覧いただければと思います。