こんにちは!ApparelX サステナブルチームの木村です。
みなさんは"セルロース繊維"という言葉を知っているでしょうか?
サスティナブルやSDGs関連で聞いたことはあるけれど、実際のところ何がサスティナブルと言われいるのかよくわからない方も多いのではないかと思います。
今回はそんな"セルロース繊維"について紹介していきます!
✔️はじめに
ファッションのサステナビリティが選ばれる理由やブランド価値となる今、 「素材そのものの循環性」を重視する動きが広がっています。
中でも注目を集めているのが、植物由来の再生繊維=セルロース繊維。 自然とテクノロジーの調和を意味する「ネイチャーテック」素材として、 多くのブランドが採用を進めています。
🌿セルロース繊維とは?
セルロース繊維は、植物の細胞壁に含まれる天然成分「セルロース」を原料にした繊維。 木材パルプや綿花などを原料とし、“植物から生まれ、自然に還る”という循環性を持ちます。
大きく分けると以下の天然セルロース繊維/再生セルロース繊維2つのタイプがあります。
種類 | 主な素材例 | 特徴 |
---|---|---|
天然セルロース繊維 | コットン、リネンなど | 植物から直接繊維を採取 |
再生セルロース繊維 | レーヨン、テンセル™、モダール、シーセル®など | 植物パルプを再紡糸したエコ繊維 |
特に後者の再生セルロース繊維は、テクノロジーによって再加工することで柔らかさやドレープ性、光沢感を高め、 天然素材と合成繊維の“いいとこ取り”をした「モダンサステナブル素材」として注目されています。
🌳なぜサスティナブルなのか
① 植物由来の再生可能資源
原料は木や綿といった再生可能な植物資源。 石油系繊維のように限りある資源に頼らず、持続的な供給が可能です。
また、テンセル™(リヨセル)などでは、FSC®認証森林の木材を使用。 責任ある森林管理を通じて、生態系保全にも貢献しています。
② 環境配慮型の生産プロセス
再生セルロース繊維は、近年「閉ループ生産システム」により大きく進化しました。
溶剤や水を99%以上リサイクルすることで、有害排水をほぼゼロに。 → 製造段階からクリーン・プロダクション(環境負荷の低減)を実現しています。
③ 生分解性による自然循環
セルロース繊維は生分解性素材のため、廃棄後は土に還り、マイクロプラスチックを発生させません。
「植物→繊維→土へ還る」というサイクルは、まさに真の循環型ファッションの象徴です。
♾️クローズドループ生産とは?
再生セルロース繊維の製造には、木材パルプを溶かすための溶剤が必要です。 従来のレーヨン製造では、この溶剤や排水が環境汚染の原因になることもありました。 そこで生まれたのが、「閉ループ生産システム(Closed-Loop Production)」。 ▷ わかりやすく言うと… 使った溶剤や水をほぼ完全に回収・再利用する生産方法のことです。 つまり、 「使ったものを捨てず、再び循環させる」=排出ゼロに近い製造プロセス。 テンセル™(リヨセル)を製造するレンチング社では、 溶剤の再利用率は99%以上を達成しており、廃棄物・有害排水をほとんど出さずに生産が行われています。 この仕組みこそ、セルロース繊維が“本当の意味で環境にやさしい”とされる理由のひとつです。
🤔セルロース繊維のメリット・デメリット
【メリット】
再生可能な植物由来原料 化石燃料に依存せず、再生可能な木材や綿花を使用。森林認証材を選ぶことで、資源管理も明確。
生分解性があり、マイクロプラスチックを生まない 廃棄後は土に還るため、環境中に残りにくい。
吸湿性・通気性が高く、肌触りがなめらか 天然繊維に近い快適さで、インナーからドレスまで幅広く対応。
クローズドループ生産による環境負荷の低減 溶剤・水を再利用し、排水やCO₂排出を最小限に。
【デメリット】
価格がやや高め 環境配慮型の製造設備を維持するため、一般的な合成繊維よりコストが上がる傾向。
シワになりやすい・強度が水分で変化する素材も 繊維構造上、洗濯やアイロン時にケアが必要。
安価な類似素材との混在リスク 見た目や風合いが似ていても、製造プロセスの透明性が異なる場合があるため、 信頼できるサプライヤーから仕入れることが重要。
👗 ブランドが注目する理由
1. “クリーンラグジュアリー”の象徴として
近年のブランドトレンドでは、「クリーン」「タイムレス」「ナチュラルテック」がキーワードになっています。
セルロース繊維は、自然な風合いと上品なドレープ性を兼ね備え、 “シンプルなのに上質”という現代的ラグジュアリー感を演出します。
2. 機能性と着心地の両立
セルロース繊維の特徴として吸放湿性に優れ、肌触りがなめらかなのが魅力です。
テンセル™やモダールはシルキーな光沢を持ち、 コットンとのブレンドで通気性とハリ感のバランスも最適です。 そのため インナーからドレス、ユニフォーム、カジュアルウェアまで幅広く対応することができます。
3. ストーリー性のある素材
ファッション感度の高い消費者が「素材の背景」に共感する時代になりつつあります。 セルロース繊維は「植物由来」「再生可能」「生分解性」といったストーリーを持ち、 ブランドのサステナビリティメッセージを語れる素材として活かすことができます。
⭐️トレンド素材ピックアップ
各素材名をクリックするとApparelX素材一覧をご覧いただけますので是非ご活用ください!
素材名 | 特徴 | ブランド採用例 |
---|---|---|
TENCEL™(テンセル™) | FSC認証木材使用、閉ループ製法。シルクのような滑らかさ | ドレス・ブラウス・シャツ地 |
SeaCell®(シーセル®) | 海藻×木材パルプ。ミネラル成分で肌にやさしい | サステナブルラウンジウェア |
MODAL(モダール) | 柔らかく吸放湿性が高い。ナチュラルドレープ | カットソー・インナー |
EcoVero™(エコヴェロ™) | Lenzing社開発。CO₂・水使用量を大幅削減 | ワンピース・ブラウス |
🔴 ApparelXおすすめ商品
テンセル™混 コットンブロード
SeaCell®天竺
MODAL(モダール)
EcoVero™ツイル
🔑今後の方向性:ネイチャーテック × サーキュラー
今後のアパレルトレンドでは、 「天然素材の美しさ × テクノロジーによる環境配慮」=ネイチャーテック素材が主流になっていくでしょう。
セルロース繊維は、まさにその中心にある素材です。 環境価値をデザインに変換し、ブランドの理念や未来を語るための鍵となるのではないでしょうか。
✒️まとめ
いかがでしたでしょうか。セルロース繊維についてすこし詳しくなれたでしょうか?
『 植物由来で再生可能 /生産工程もクリーン/着心地・デザイン性も高水準/ブランドのストーリーに落とし込みやすい』 そんなセルロース繊維は、サステナブルと美しさを両立する「次世代のベーシック」。
トレンドを超えて、“ブランドの姿勢”を伝える素材として、再注目されている素材ですので是非ご活用ください。